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【生活図鑑】

年金改正法案 低所得者に加算、高所得者は減額(No.404)

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 消費税率引き上げを前提に、低年金・無年金対策が盛り込まれた法案が国会へ提出されています。低所得の年金受給者には原則、月額6000円加算、年金受給に必要な加入期間も10年に短縮します。一方、高所得者の年金額は減額します。

 総務省の家計調査では、単身高齢者の基礎的な消費支出は月七万円程度です。一方、老後を支える老齢基礎年金は、四十年間保険料を納めた人の満額で月六万四千円程度です(過去の物価下落時に年金額を下げた場合の本来の二〇一二年度水準)。満額の年金を受け取っても、毎月六千円程度不足します。

 保険料の未納や免除期間が長い人ほど年金額が減り、生活は厳しさを増します。また、検討中の消費税率引き上げも、低所得者ほど税負担は重荷です。そこで、低所得者の老齢基礎年金に月六千円加算する改正案が国会に提出されました。

 加算対象の低所得者は、市町村民税が家族全員非課税で、年金などの合計収入が老齢基礎年金の満額以下の人です。対象者は約五百万人いるとされます。

 障害・遺族基礎年金も月六千円が加算されます。障害基礎年金一級の加算は月七千五百円です。

 老齢基礎年金の加算対象者に保険料の免除期間があれば、定額六千円に加えて、免除期間に応じ加算されます。

 免除期間の加算分は原則、保険料免除期間中の基礎年金の六分の一(〇九年度以降で四分の一免除の場合は八分の一)の額です。

 例えば、〇八年度以前の国庫負担割合は三分の一なので、全額免除(四十年)の場合の年金額は、基礎年金満額の三分の一(約二万一千円)です。これに、定額加算六千円と、免除期間加算として基礎年金満額の六分の一(一万六百六十六円)が支給されます。

 高所得者の場合、逆に老齢基礎年金は減額されます。所得五百五十万円程度で減額が始まり、九百五十万円に達する人は年金額の二分の一に当たる国庫負担分が支給されません。

 現在の基礎年金の満額は月六万四千円なので、最大三万二千円の減額です。減額の対象者は二十四万三千人、老齢基礎年金受給者の約0・9%といわれます。

 年金減額は「財産権の侵害」などといった議論がありました。国庫負担分を減額し、保険料分は支払うことで落ち着きました。

●加入必要期間を10年に

 現在の制度上、老齢基礎年金の受給には原則二十五年以上の加入期間(保険料納付や免除などの期間)が必要です。この二十五年は諸外国に比べ長過ぎるなどの議論がありました。

 〇七年の統計では、六十五歳以上の無年金者約四十二万人のうち、約四割は十年以上の加入実績があります。改正案では、保険料の納付や免除の期間が合計十年以上あれば、すでに無年金とされた人を含め年金を支給します。

 年金額は納付実績十年の人の場合、四十年間保険料を納めた人に比べ、四分の一に当たる月一万六千円です(加算六千円がない場合)。

 改正案にはこのほか、これまで妻が死亡した場合に夫が遺族基礎年金を受け取れなかった点の改善も含まれています。受給者の範囲が広がり、十八歳までの子がいる夫も支給対象になります。

●消費税率引き上げ前提

 年金制度改善には一五年度に約六千億円が足りません。このため改正案は、消費税率5%の引き上げが前提になっています。制度の改善を望む声は大きいものの、反対の強い消費税を財源とする一体改革法案の行方が注目されています。

 編集・亀岡秀人

 デザイン・川端乙大

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