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【生活図鑑】

パートの社会保険加入促進法案(No.405) 対象者45万人 負担はサラリーマン全体で

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 パート労働者の社会保険への加入を促進する法案が国会に提出されました。非正規労働者の厚生年金、健康保険などへの加入で、社会保険で格差是正を掲げたものの、産業界などが反発。加入対象を大幅に制限した案になりました。

 パートなど短時間で働く非正規労働者は社会保険に加入できず、国民年金や国民健康保険に自ら加入する必要があります。しかし、保険料負担が重いことから無年金・低年金で、医療保険に加入できない場合もあります。また、会社員世帯などの専業主婦は夫の年金、健康保険に加入できるため、女性の就業意欲の妨げになっているなどの指摘もあります。

 このため、社会保障と税の一体改革では当初、約三百七十万人の非正規労働者の社会保険への加入を促進する政府方針が閣議決定されました。しかし、産業界の反発が強く、段階的に実施することになりました。母子世帯などから実施の要望が強かったものの、具体案も流通など産業界からの納得を得られず二転三転しました。

●従業員500人超のみ

 法案では、社会保険の適用基準を従来の「週三十時間以上働いている」場合から(1)週の所定労働時間が二十時間以上(2)月額賃金七万八千円(年収九十四万円)以上(3)雇用期間一年以上(4)従業員五百人超(5)学生は適用外−としました。二〇一六年四月から適用し、対象者は約四十五万人とみられています。

 パートで働いていても勤務先の従業員が五百人以下なら、今回の対象から外れます。

 新たに社会保険に加入する人の保険料と給付は次のようになります。

 月収十万円の女性(一九六五年生まれ)の場合、年間保険料はパートで働く自営業者の妻や単身者は軽くなり、会社員世帯の専業主婦だった人は負担が新たに発生します。

 給付は、年金で月額約五百円(生涯に換算すると約十七万三千円)増えることになります。

 保険者の負担の変化を一五年度ベースで見ると、厚生年金は加入拡大で保険料収入が増えるため、約百億円の財政が改善されます。

 医療では、主に中小企業の従業員が加入する協会けんぽや国民健康保険から、健保組合にパート労働者などが移るため、それぞれ財政が好転します。半面、健保組合は加入者増により医療費が膨らみ、四百億円の負担増となります。一方で、公費は国民健康保険への支出などが減り、四百億円の負担がなくなります。

 事業主負担は、年金で五百億円、医療で三百億円の計八百億円増加します。

●健保、業種によって差

 健保組合の中でも、業種によって差が出ます。比較的給与水準が高い製造業などから飲食サービス、流通、小売業へとパート労働者の加入が移るため、これらの業種の組合で保険財政が悪化。保険料アップや、中には財政悪化で解散する恐れもあります。

 このため、厚生労働省は新たに負担増になる流通、外食産業などの健保組合の負担分を、他の健保組合や協会けんぽ、共済のサラリーマン(被用者)全体で負担する仕組みを提示しています。

 しかし、健康保険組合連合会などは、非正規労働者の格差改善のため負担増分をサラリーマンに肩代わりさせるのではなく、公費で賄うのが筋だと指摘しています。

 国保から健保に加入者が移った影響で、サラリーマンが公費の肩代わりをするのがよいのか、また、公費をどう活用するのかは難しい問題です。

 制作・亀岡秀人

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