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【生活図鑑】

社会保障 国民はどう見る(No.406) 制度に不信、説明不足透ける

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 消費税率の引き上げを前提にした社会保障と税の一体改革が国会で審議されています。社会保障費が増加する中、負担と給付のバランスをどのように取ればよいのでしょうか?その前提には社会保障制度そのものへの信頼がなくてはなりません。国民が、社会保障に対してどのような意識なのか、整理しました。

 社会保障制度に関する意識を知るため、なるべく最新の調査として、二〇一二年四月に行った連合総研(連合のシンクタンク)の調査(五十歳代までのサラリーマンが中心)、一一年二月の厚生労働省(委託)調査を基に考えてみます。

●保険料納付率に違い

 社会保障制度が信頼できるかどうかについて、総研調査では年金、医療、介護保険の三制度とも、信頼できないとする回答が60%を超えていました。特に年金制度については88%が信頼できないとしています。続いて介護保険制度を信頼できないとするのが76%にも及びました。信頼できるとする回答が比較的多かったのは医療制度の34%でした。

 病気になれば先送りできないのが医療です。それを差し引いても年金より比較的信頼できるのが医療という結果は、国民年金、国民健康保険の保険料納付率の違いにも表れています。それぞれ納付率は低下傾向にあるものの、国民年金の納付率は60%を下回っているのに対し、国民健康保険は90%近くあります。

 さらに、年金制度については、消えた年金記録問題や世代間格差などが影響しているのではないかと考えられます。

 また、二〇〇〇年の介護保険制度導入以来、要介護認定者は増え続け、介護費用と保険料負担も増加。その一方で、介護労働者の処遇が改善されないなど、介護の担い手への不安や高齢化の進展、要介護者数が増える見通しから、制度への信頼が欠けているとみられます。

 社会保障の給付について、現状が維持できると考えているのは、厚労省調査で26%にすぎません。61%は維持できないと答えています。性別では、維持できないとみているのは女性よりも男性、年齢層では四十歳代(67%)、五十歳代(72・6%)と中堅層で厳しい見方が広がっています。

●増税に肯定的な人は

 社会保障給付と負担についてはどう考えているのでしょうか?

 総研調査では、社会保障と税の一体改革実現を前提として質問しています。各種世論調査では消費税率引き上げ反対が賛成を上回っています。

 総研調査の結果は、消費税率引き上げについて社会保障が「現状より充実できる程度に」「現状維持ができる程度に」を合わせて47%が賛成、38%が反対でした。

 また、厚労省調査では「社会保障の給付水準を保つために、ある程度の負担の増加はやむを得ない」とする回答が48・5%でした。ただ、「給付大幅減、負担減」「給付減、負担従来どおり」などと比較しての選択でした。

 これらを考えると、一般的には消費税率引き上げには反対する意見が多いものの、社会保障の給付と負担という観点では現実的に考えている人が多いと思われます。また、総研調査では社会保障制度を信頼している人ほど消費税率引き上げには肯定的と出ています。

 一体改革の社会保障制度の内容、説明が十分なら、意識も変わる可能性があります。増税先行の感がある一体改革。これまでの議論や国会審議で国民は納得したのでしょうか。

   編集・亀岡秀人

  デザイン・浅野裕作

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