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【生活図鑑】

パワーハラスメント(No.409) 相談急増 社会的損失大きく

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 職場での嫌がらせ・いじめなどパワーハラスメントが問題になっています。いじめの相談件数も急速に増加。厚生労働省も、パワハラは社会的損失につながるとして、職場のパワハラの概念や予防策を提言しています。すでに対策に乗り出している企業もあるものの、本格的な取り組みはこれからです。

 都道府県労働局等への「いじめ・嫌がらせ」の相談件数は、二〇〇二年度に約六千六百件(民事上の個別労働紛争相談件数に占める割合は6・4%)だったのが、一〇年度は三万九千四百件(同16・0%)へと急増しました。パワハラの相談は、その他を除くと解雇に次ぐ多さです。

 また、東京大学の労働審判に関する調査(一一年)でも、パワハラで審判手続きを行ったのは24・3%(複数回答)、それ以外のいじめ・嫌がらせでも13・3%ありました。賃金、解雇問題に次ぐ多さで、審判でも重要な争点になっています。

 背景には、企業間の競争が激しくなる中で、社員への圧力が高まっていることや、非正規労働者の増加にもかかわらず、均等待遇に程遠い状況が指摘されています。

 一方、上場企業の経営者を対象にした調査では、約八割の企業がパワハラ対策が重要だと認識しています。

●民事・刑事訴訟も

 パワハラを受けた労働者は心の病(メンタルヘルスの悪化)を引き起こし、行った人も社内的な処分を受ける上に、民事・刑事の両面で責任を問われる場合もあります。

 パワハラに関する訴訟で企業責任が問われた例として、新たな経営方針に積極的な協力をしなかった管理職を、経験のない受付へ配転した例や、仕事を与えないなどがあります。また、上司の暴言、侮辱を放置したことで安全配慮義務違反が問われた例が多くあります。さらに、当事者に慰謝料の支払い命令が出された訴訟もあります。

 いずれにしても社会的損失が大きいとして、対策が望まれてきました。

●労使協力し対策を

 厚労省では、パワハラ問題が深刻になる中、概念を整理しました。

 それによると、職場のパワハラは「職務上の地位や人間関係での優位を背景に精神的・身体的苦痛を与える」と定義。具体的には、身体的攻撃(暴行・傷害)、精神的攻撃(脅迫・名誉毀損(きそん)・侮辱)−など六つを挙げています。ただし、整理したもの以外もあると指摘しています。

 対策として、企業トップがパワハラ行為を否定するメッセージを出す▽ルールの設定▽社内教育の実施▽相談窓口などを設ける−ことなどが挙げられています。特に使用者だけでなく、労働組合も含めた労使の協力が重要とされています。

 しかし、業務上の指導とパワハラの線引きの難しさなどから、なかなか実効性が上がっていません。労使の取り組みにも企業によって温度差があります。有効策を探る調査研究もこれからの状態で、取り組みの強化が望まれています。

  制作・亀岡秀人

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