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【生活図鑑】

消防団の現状(No.410) 減る団員、処遇も課題

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 火災や大規模災害発生時に現場へ駆け付け、消火活動・救助活動を行うのが消防団です。しかし、団員数が減少するなど問題も抱えています。また、団員は災害の最前線に立つものの、実態はボランティアの側面が強いと指摘されています。東日本大震災では団員の犠牲者も多く、消防団の在り方も課題に挙がっています。

 消防団は原則として市町村が設置・管理する機関です。ボランティアと思われがちですが、団員の身分は非常勤特別職の地方公務員です。しかし、地方公務員といっても採用試験はなく、応募手続きによって任用されます。

 また、消防団とはいうものの、火災は二〇一〇年度で6・7%の出動でした。最も多いのは30%を超える演習・訓練、続いて広報・指導、特別警戒でした。

●女性や学生も

 団員数は一九四〇年代には二百万人を超えていました。しかし、社会・経済情勢の変化や少子化の影響などもあり、約八十八万人にまで減少しています。団員の約七割が会社員です。

 団員の減少は、地域コミュニティー意識の希薄さとの関連性も指摘されています。そこで、消防庁は入団促進策を進めてきました。

 その結果、女性団員が増加。高齢者宅への防火訪問、応急措置の普及指導などで活躍しています。また、各地で大学生、専門学校生らの消防団員や防災サポーターが誕生しています。

●ボランティア精神

 消防団員には報酬や手当が支払われています。一般団員の年額報酬は全国平均で二万五千三百五十六円、出動ごとに支給される出動手当は平均三千三百七十九円でした。報酬額などから考えても、消防団活動はボランティア精神で成り立っているといえます。

 東日本大震災を受けたアンケートでは、どちらかといえばを含め、処遇が十分であると回答した団員は約20%で、76%は十分ではないと答えています。

 消防庁では、実際の報酬、手当額が低い市町村については報酬の引き上げを促しています。地域によっても報酬に大きな差があり、処遇改善を含めどのように行うかが検討されています。

●使命感と安全の確保

 消防団は地域に密着した活動であるため、最初に災害現場に駆け付け、最後まで活動することを余儀なくされます。

 東日本大震災では、団員にも多くの犠牲者が出ました。住民の避難誘導などに臨み、公務災害で死亡したと認定された団員は、一二年三月十一日現在で二百五十二人に上っています。

 犠牲になった多くの団員は、使命感から災害の最前線に出動しました。一方、民間人中心の実質ボランティア組織を災害活動に従事させることの難しさが明らかになりました。

 団員には初任研修、日常訓練の他にさまざまな教育の機会が設けられています。ただ、消防学校などで開催する義務はあるものの、団員が受けることについては義務化されていません。最低限の受講を義務化するかなど、安全教育や訓練をどのように行うのかも課題に挙がっています。

 また、団員の安全対策として設備整備費の増額、設備の充実も進めています。消防庁では、地域に密着した消防団は、災害時の安全を確保する上で欠かせない組織と位置付けており、消防団の充実強化で「地域の防災力を高めていきたい」としています。

   編集・亀岡秀人

  デザイン・佐藤圭美

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