東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 生活図鑑 > 生活図鑑シリーズ・バックナンバー > 2012年の記事一覧 > 記事

ここから本文

【生活図鑑】

人生の最期をどこで迎えるか(No.411) 希望は「自宅」 かなえるには

写真

 5人に1人が65歳以上という高齢社会を迎え、人生の最期をどこで迎えるのかという関心が高まっています。最期は自宅でという希望が80%を超えるものの、実際には希望とは逆に80%の人が病院で亡くなっています。希望をかなえるには何が必要か。まず、最期の場所をみてみます。

 余命が限られた場合、「自宅で過ごしたい」とする人は80%(日本ホスピス・緩和ケア研究振興財団)にも達しています。また、厚生労働省の調査では、余命六カ月以内の末期状態の患者の場合、「必要になれば医療機関を利用したい」を含め、「自宅で療養したい」と考える人は60%を超えています。

 しかし、自宅で過ごせると考えている人は18%しかいません。実際、自宅で亡くなったのは二〇一〇年で12・6%にすぎません。約80%の人が病院で亡くなっています。

 各国の死亡場所の比較調査でも、オランダでは病院35%、ケア付き住宅32・5%、自宅は31%などで、スウェーデン、デンマークなど北欧諸国は同じ傾向です。日本は病院で亡くなる割合が多くなっています。

 もともと日本人の死亡場所は自宅でした。一九五〇年代は、自宅で亡くなる割合が80%もあり、病院は10%前後でした。日本人の最期を迎える場所がこの六十年で逆転したことになります。

 それでも、自宅で最期を迎えたいという願いは六十年前と変わっていません。

●在宅医療に課題

 日本で最期を自宅で迎えられない理由として、在宅医療・介護の体制と住宅の質が十分でないことが挙げられています。特に、在宅のみとりが諸外国に比べて低いと指摘されています。

 一般診療所のうち、在宅医療の中心である在宅療養支援診療所の届け出をしているのは一万二千四百八十七で、全診療所のうち12・5%です。さらに一人以上みとりを行ったのは一〇年七月時点で五千八百八十三と届け出診療所の47%でした。

 一方、在宅で療養を行い、最期の段階で搬送され、結果的に病院で亡くなるケースも在宅のみとりとして考える必要があるとの指摘も強くあります。

 このため、一二年度の診療報酬改定では、終末期の在宅医療とみとりの場所が異なっても、報酬が支払われるようにしました。また、在宅支援以外の一般診療所でも、みとりを行った場合、報酬を高く評価する仕組みにしました。いずれも診療所がみとりに積極的に関わってほしいとの狙いがあります。

●孤独死対策を

 高齢者の単身世帯の増加に伴い、「孤独死」も問題になっています。孤独死の定義は難しいうえ、全国規模のデータもありません。東京都監察医務院のデータでは年々、増える傾向にあります。自宅で最期という場合、孤独死とならないような仕組みも必要です。

 団塊の世代が高齢期を迎える中、政府は医療・介護とも在宅を中心にする方針を示しています。しかし、みとりを含め、在宅での医療・介護の体制は十分とはいえません。

 既に在宅サービスとして、二十四時間介護や看護に対応した「定期巡回・随時対応サービス」も開始されました。しかし、人材不足やサービスの自己負担の重さなどの問題が浮かび上がっています。自宅で最期という願いを実現するには、在宅の体制をどのようにするのかなど、解決しなければならない課題が多くあります。

 また、最期まで自宅か、自宅で終末期を過ごし、急変時に病院に搬送され、そこで亡くなるシステムをつくるのかといった議論も進めていく必要があります。

    制作・亀岡秀人

ご注文はこちらから
 

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報