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【生活図鑑】

国民健康保険(No.412) 低所得者増え5世帯に1世帯が滞納

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 自営業者らが加入する国民健康保険(国保)では、5世帯に1世帯が保険料を滞納しています。無職者や非正規労働者の増加で、保険料を払えない世帯が増えているのではないか、とみられています。滞納が続くと、医療が受けにくくなるなど、健康問題にもなりかねません。

 後期高齢者医療制度が二〇〇八年度から始まり、七十五歳以上の人が国保から同制度に移った影響などで、国保の保険料滞納世帯数は減っています。しかし、滞納率は20・6%まで上昇。一〇年度から倒産や解雇などによる非自発的失業者への保険料減免措置が実施され、減免が受けやすくなったものの、一一年も20%と高率です。

●通常の保険証使えなく

 保険料を滞納し続けると、どうなるのでしょうか。悪質な滞納などについて国は資産などを差し押さえる方針を示しており、実際、差し押さえ件数は増加。一〇年度は約十八万七千世帯、金額では七百三十二億円に上っています。

 目安として一年未満の滞納が続くと、加入者は通常の保険証ではなく、「短期被保険者証」を市区町村から交付されます。

 短期被保険者証は有効期限が三〜六カ月程度と短く、更新手続きを行う必要があります。短期被保険者証での自己負担割合は、通常(一〜三割)のままです。

 災害など特別の理由なしに滞納が一年以上続くと、「被保険者資格証明書」へと変わる場合があります。資格証明書は国保の加入資格を証明するだけで、病気などで医療機関にかかった場合、窓口では医療費の全額を支払わなければなりません。

 支払った後で市区町村に手続きをし、自己負担分を除いた七〜九割分の払い戻しを受ける仕組みです。

 原則、一年半以上の滞納では、給付の全部または一部が差し止められます。

 短期被保険者証の交付世帯数は増加傾向にあり、一〇年で6%を超えています。資格証明書の交付世帯も1%を超えています。資格証明書交付世帯などでは、医療機関の受診を抑制するといったケースも問題になっています。

●非正規多い都市で深刻

 滞納の背景には、世帯主の就労形態の変化と収入減が挙げられています。以前は、農林水産業や自営業者がほとんどでしたが、高齢化や厳しい経済情勢で解雇などによる無職者の割合が40%を超えています。また、社会保険が適用されない非正規労働者も増加しています。

 これらの影響で、国保加入世帯の所得も減少傾向です。特に〇九、一〇年度は所得の落ち込みが目立っています。

 非正規労働者などの増加は、都市部での保険料納付率が低下する原因とも指摘されています。今後も社会保険への加入拡大が進まない場合、都市部での滞納が増えるのではないかと危惧されています。

 滞納を防ぐため、アドバイザーを置くなどの対策に乗り出しています。しかし、所得増加の見通しが立たない中、決め手は見いだせていません。

 編集・亀岡秀人

 デザイン・伊藤潤

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