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【生活図鑑】

敷金返還トラブル(No.414) 原状回復、正しく理解を

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 アパートやマンションなど賃貸し住宅の敷金清算をめぐるトラブルが尽きません。とくに、借り主が退去時に求められる部屋の「原状回復」でトラブルになるケースが多くあります。このため、国土交通省は原状回復についてのガイドラインを定めています。どのような内容でしょうか。

 敷金精算や原状回復のトラブルで、二〇一一年度に国民生活センターと全国の消費生活センターに寄せられた相談は一万五千四百十三件に上りました。

 トラブルを未然に防止するため、国土交通省は一一年八月、原状回復についてのガイドラインを再改訂しました。内容を見てみましょう。

 建物の価値は、時間の経過や使用によって減少します。「通常の使用による劣化」や「経年変化」による経費はあらかじめ家賃に含まれており、貸主が修繕費用を負担するのが原則です。

 一方、借り主は賃貸住宅から退去する際、借りていた物件の原状回復をしなければなりません。といっても「原状」イコール「元通り」という意味ではありません。借り主が不注意などで傷をつけてしまった場合、損傷した部分について修繕する義務を負うということです。

 本来、借り主が手入れをしていて、明け渡した際の状態が経年変化などによる劣化だけであれば、敷金は全額返却されます。ところが、民間の調査では、退去時の敷金返還割合(敷引きや滞納家賃分を除く)は、「ほとんどなし」が20・4%、「一〜三割」が21・9%でした。「満額」返還されたと回答した人は7・1%にすぎません。

●経年変化は貸主負担

 トラブルの原因は原状回復の解釈です。

 ガイドラインによると、例えば壁紙やじゅうたんなどは、通常の使用や経年変化による劣化であれば貸主の負担となります。

 借り主が不注意で、壁紙を一部傷つけた場合はどうなるのでしょうか。ガイドラインでは、その部分を修繕しただけでは色がちぐはぐになるとして、部屋全体の壁紙を張り替えても、借り主が負担する費用は、補修工事が可能な最小単位とされています。つまり壁紙一面分になります。さらに時間の経過や通常の使用による劣化分を除いて計算し、最終的な負担金額が決まります。

 水回りでは使用中の清掃や手入れを怠った結果、機器が損傷した場合などは借り主の負担とされています。

 一方、喫煙やペットによる臭い・やに汚れで、クリーニングで除去できる場合は貸主負担に、できない場合は借り主負担とされています。ただ、通常のクリーニングで汚れが除去できるかなど、解釈が難しいこともあります。

●特約内容に注意

 次の入居者を確保するために行うリフォームや、古くなった設備を最新のものに替えるなどの費用は本来、貸主の負担です。

 しかし、契約書に「特約」(例えば退去時に借り主がハウスクリーニング代を負担するなど)があれば、借り主の負担になるケースもあります。むろん、消費者契約法などで禁じる「借り主に一方的に不利な内容」であれば、特約に問題が生じます。

 契約する際には特約内容や負担想定額についてしっかり理解し、納得してから契約を結ぶ必要があります。また、入居時と退去時には、借り主と貸主が立ち会って汚れや傷があるかなどを確認し、一覧表の作成や写真で記録を保存しておきましょう。

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 編集・亀岡秀人 デザイン・浅野裕作

 

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