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【生活図鑑】

若年 生活保護(No.415) 非正規の働き方などが関係か

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 生活保護の受給者数が戦後最多になっています。生活保護をめぐってはさまざまな問題が指摘される中、若年層で受給(保護)率が上昇しています。若者の保護率上昇は何を意味しているのでしょうか?

 これまで生活保護は、公的年金など収入が限られ、病気にかかる恐れのある高齢者が中心に受給してきました。二〇一〇年でも受給の39・4%は六十五歳以上の高齢者が占めています。一方、二十〜三十九歳の若年層の受給は9・7%でした。しかし、ここにきて若年での受給の増加が問題として浮上してきています。

 保護率(生活保護を受給している割合)を見ると、戦後から下降し、一九九五年に全年齢で6・8‰(パーミル、千分率)に低下。その後、上昇に転じ、一〇年には14・7‰に倍増しています。

 九五年以降の保護率の上昇は、各年齢層で共通しています。中でも、二〇〇〇年以降、二十〜三十九歳の若年層で、保護率の高まりが際立っています。

 分かりやすくするため、九五年時の保護率を一〇〇として各年齢層での保護率指数の推移を調べてみました。すると、一〇年には二十〜三十九歳が二九〇と他の年齢層に比べ、急速に上昇してきたことが分かります。

●働く貧困層の増加

 なぜ、若年層の受給が急増しているのでしょうか?

 若年層の失業率の悪化、収入減などさまざまな原因が指摘されています。中でも、雇用形態が大きく関係していることが分かりました。

 二十五〜三十四歳の非正規比率(非正規で働く割合)と保護率の関係を見ると、非正規比率の上昇に伴い、保護率も上がってきたことが分かります。若年の非正規労働者が増加すれば、若年の生活保護受給も増える関係にあります。

 一九九九年の派遣法改正など雇用の規制緩和を経て、派遣、パートなど非正規で働く若年層が増加しました。若年層の不安定雇用化が、働く貧困層(ワーキングプア)などを生み、生活保護の受給に至ったことがうかがえます。

●フリーター高止まり

 さらに、フリーターやニート(若年無業者)数も増加し、二〇〇〇年以降は高水準のままです。このため、親と同居している三十九歳以下の若年層が自立できず、親のリストラなどをきっかけに、生活保護の受給を余儀なくされていると考えられます。

 こうした若年層は、職の技能なども不足し、なかなか生活保護の受給から自立できないと指摘されています。

 このため、職業訓練をはじめ、若年雇用対策の重要性が増しています。また、安定した雇用をどのように実現していくかなど、課題は残されたままです。

 制作・亀岡秀人

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