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【生活図鑑】

消費税率引き上げ(No.417) デフレ効果で全体の税収減?

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 消費税率を引き上げる法律が参院で可決、成立しました。家計の負担は増し、いわゆる逆進性はさらに大きくなります。ただ、消費税率を上げても、デフレ効果で、所得、法人など他の税目が減収になる恐れがあるので、全体の税収が順調に増えるかどうかは分かりません。

 消費税増税法の成立により、現行税率5%の消費税は、二〇一四年四月に8%、一五年十月に10%になります。年収五百万円台前半のサラリーマンの夫と専業主婦、子ども二人の四人世帯では、10%に上がった場合、年間で約十二万円の負担増になり、家計は直撃されるでしょう。

 しかも、食料品など生活必需品は所得にかかわらず節約しにくく、低所得層ほど実質負担が重い逆進性は拡大します。

●比重増す消費税

 国税の中ではもともと、個人と法人の所得に課税する直接税である、所得税と法人税が主要税目でした。しかし、一九八九年に間接税である消費税が導入されてからは、消費税の比重が増してきました。所得、法人税はバブル崩壊や不況などの影響、さらには度重なる減税などにより税収が減ってきたのに対して、消費にかかる消費税は景気の影響をあまり受けません。しかも、九七年度に3%から5%に増税されたため着実に税収が増えたのです。

 消費税は景気に左右されにくく、消費の段階で着実に課税されるため、財務省には格好の増税ターゲットでした。また、消費税など付加価値税の本場である欧州諸国の税率が平均20%程度で、日本の税率は相対的にかなり低かったことから、「上げ余地」が大きいとみられていました。

 今回10%に引き上げてもまだ、欧州諸国よりかなり低いため、同省は今後も増税の手を緩めるつもりはありません。

 では、税収は今後、増えるのでしょうか。消費税自体の税収が増えることはほぼ疑いないでしょう。問題は、消費税増税のデフレ効果で、その他の税収が減り、全体の税収があまり増えないか、減少するのではないか、ということです。

 八九年の消費税導入時はバブルの最中で、デフレ効果を吸収して、消費税以外の税収も伸びました。しかし、九七年の増税時は消費税以外の税収は減り、全体の伸びはごくわずかで、翌九八年度の税収は減少し、以後、一度も九六年度の税収を超えていないのです。

 九五、九六両年度は阪神大震災の復興需要などで、「失われた二十年」の中では比較的高成長だったのですが、増税で腰を折られたわけです。今回の増税は東日本大震災の復興の後になります。同じ轍(てつ)を踏まなければいいのですが…。

●逆進性対策後回し

 逆進性を緩和するための対策としては、(1)食料品などに軽減税率を適用(2)簡素な給付措置(3)給付付き税額控除−が検討項目とされています。

 このうち軽減税率は欧州諸国などで実施されているものの、事務作業が複雑で、税収が減るなどの理由で財務省などは消極的です。簡素な給付は文字通り簡単なものの、単純なばらまきになりそうです。給付付き税額控除は、所得に応じた対応が可能ですが、納税者番号制度など条件を整備する必要があります。

 制作・川北隆雄 デザイン・佐藤圭美

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