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【生活図鑑】

健康寿命と平均寿命(No.418) 人生最後の10年 日常生活に支障も?

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 平均寿命でみると日本人は国際的にも長生きです。しかし、自立して生活できる期間である健康寿命はそこまで延びていません。介護や医療が必要など、晩年に日常生活に制約がある期間は男性約9年、女性約13年です。人生ラスト10年、現状を見てみましょう。

 健康寿命と呼ばれる、自立して健康に生活できる期間は、平均で男性約七十年、女性で約七十四年です(二〇一〇年)。平均寿命から健康寿命を差し引いた期間は、男性約九年、女性約十三年です。

 では、この約十年は、どのような状態でしょうか? 国は「日常生活に制約がある期間」としています。つまり、人生最後の十年は、日常生活に何らかの支障があると考える必要があります。

●増える要介護者

 二〇〇〇年度にスタートした公的介護保険では、要介護認定者数が年々増えています。とくに七十五歳以上の要介護(要支援)者の伸びが大きく、この十一年間で二百二十五万人増加し、約四百二十七万人に達しています。

 要介護(要支援)認定を受けた原因として最も多いのは、脳卒中などの脳血管疾患で、全体の二割を占めます。高い医療技術によって命を救われた後、障害などで介護生活を送るケースもあります。

 次に多い認知症は、加齢が最大のリスク要因といわれます。家族を見ても誰か分からない、場所や時間が認識できないといった見当識障害などが生じます。認知症は、画期的な治療方法が確立されていない、といわれています。

 具体的な介護期間を介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)で見ると、平均在所期間は約四年です。入所前の家庭や他の施設などで介護されていたことを合わせると、介護期間はさらに長いと想像されます。また、住み慣れた自宅へ戻れず、施設で最期を迎える人が六割超という実態もあります。

 一カ月に必要な介護費用の自己負担(一割)を三万円、介護期間が五年(六十カ月)と仮定すると、介護保険の自己負担だけでも合計百八十万円ほどになります。

●医療費もピーク

 人生ラスト十年は、医療とも無縁ではありません。

 生涯にかかる医療費は二千三百万円と推計され、その50%は七十歳以降に費やします(〇九年度)。健康寿命を超えると、七十歳代後半をピークに、医療費が多くかかっています。医療機関の窓口負担(自己負担)を一割として計算すると、七十歳以降に合計百十六万円ほどの出費です。

 公的介護保険、医療保険それぞれに負担を抑える仕組みもあり、実際の自己負担はこれらよりも少額で済む可能性もあります。しかし、公的年金額が減少傾向にある中で負担が重荷になることも想像できます。

●家族と共に模索

 健康を維持しながら長生きすることは、生活の質にもつながる重要な課題です。国も「健康日本21」で、健康寿命を延ばすための施策を掲げています。

 国にいわれるまでもなく、誰しも健康で長生きしたいものです。

 人生ラスト十年、いかに健康である期間を延ばすか? 仮に、医療や介護が必要となっても、個人の尊厳を損ねず、本人はもちろん、本人を支える家族も含め、豊かな暮らしができるのか?

 まだ、明確な道は見えていません。

 編集・亀岡秀人

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