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【生活図鑑】

24時間定期巡回サービス(No.419) 自己負担など課題 広がり鈍く

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 住み慣れた地域で介護を受けるために2012年度から「24時間定期巡回・随時対応サービス(24時間訪問サービス)」が始まりました。今後の在宅介護の柱となるサービスですが、宮崎と沖縄では3年間、実施する予定がありません。課題として、介護・看護の人材不足や、サービスを受ける場合の自己負担額などが浮かび上がっています。

 新サービスは、一日複数回の定期訪問と、緊急時など必要に応じて介護・看護を二十四時間体制で行うもので、利用者が自宅で過ごせるようにするのが狙いです。

 一一年に実施した同サービスのモデル事業(五十二市区町、利用者千八十四人)の結果によると、利用者は独居・高齢者のみ世帯が67%。要介護度の平均は3。一日あたり平均二・六回、訪問時間は三十分未満が60%でした。訪問全体のうち74%が日中の訪問で、深夜・早朝のコールは不安によるものが多かったとしています。

●12年度は12%のみ

 厚生労働省が集計した保険者(各自治体)の一二〜一四年度の介護保険事業計画では、千五百六十六市区町村のうち、二十四時間訪問サービスを実施するのは、一二年度百八十九保険者(全体の12%)、一日あたり利用者数も六千人の見込みです。一四年度でも保険者数は三百二十九(21%)、一日あたり利用者も一万七千人にとどまっています。

 都道府県別では、一二年度には青森、山形など六つの県で実施の見込みがなく、宮崎、沖縄は三年間通じて行わない予定です。サービスの開始が比較的多かったのが東京、大阪など都市圏でした。

 さらに、七月末までの実績では、サービスをスタートさせたのは四十四の保険者で、事業所数は六十一でした。札幌市の九事業所、川崎市の五事業所、名古屋市の四事業所、静岡市の三事業所などを除き、一つの保険者にほぼ一つの事業所しかない現状です。

●採算を見極め

 新サービスの普及が遅れている理由として、利用者、事業者、保険者とも、サービス内容がまだ知られていないことが挙がっています。

 一方、新サービスに切り替えると、これまで訪問介護などを受けていた事業者から新しい事業者へ切り替わり、ヘルパーなども代わります。このため、これまで介護を頼んでいたヘルパーのままでいたいという利用者からの声もあります。

 事業者は、二十四時間対応するために人材を確保しなければならないが、果たして採算が取れるのかを見極めているとしています。

 例えば、看護を担う全国訪問看護事業協会が五月に実施した調査では、二十四時間訪問サービスについて「実施する意向はない」が52・4%で最も多く、「実施したい」も含め、実施の考えがあるのは、全体の13・6%でした。

●料金は定額制だが

 自己負担の問題も挙がっています。利用料金は月単位の定額制とし、月に何度、利用しても同じ額です。この点で魅力ですが、年金など収入の限られる高齢の一人暮らしの場合、負担できない場合もあります。

 さらに、介護・看護の一体型サービスと、介護福祉施設(特別養護老人ホーム)との報酬を比較すると、要介護1、2では、新サービス(一体型)が特養ホームより低く設定されています。要介護4でほぼ同じ負担になり、要介護5では新サービスの方が特養ホームよりも高くなっています。

 これは、新サービスの利用者を要介護度3以上の中重度者中心にするため、介護報酬に差をつけたと考えられます。しかし、要介護5の利用者からみれば、施設である特養ホームより自己負担が高くなる結果となっています。

 在宅介護の柱とする新サービス、普及への課題は多そうです。

 制作・亀岡秀人

 デザイン・佐藤恵理

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