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【生活図鑑】

増える救急車出動(No.425) 高齢化影響、迅速な搬送へ模索

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 救急車の出動件数が2011年は過去最高の570万6792件に達するなど、増加しています。原因は、高齢化に伴い高齢者の搬送が増えたことです。また、搬送の半数は軽症者でした。通報から救急車の到着までの時間も年々、長くなっています。迅速な救急搬送への取り組みも行われています。

 消防白書によると、一〇年の救急車の出動件数は全国で一日平均一万四千九百六十九件。五・八秒に一回のペースで出動し、国民の二十六人に一人が搬送されました。出動件数は、過去十年間で約三割増加しました。

●遅れる現場到着

 出動件数が増えるにつれて、救急車の出動要請から現場到着までの時間も長くなり、一〇年は平均八・一分(前年七・九分)、出動要請から病院に収容するまでには同三七・四分(同三六・一分)かかりました。

 総務省消防庁によると、出動件数の増加要因は(1)高齢者の搬送割合の増加(2)緊急度の低い人の利用が多い−ためです。

 一〇年の搬送人員のうち、高齢者(満六十五歳以上)の割合は51%(前年49・3%)を占めました。また、同庁が算出した将来推計でも、人口は減少するものの、高齢化の影響で出動件数は逆に増加。三〇年ごろに六百八万六千件でピークを迎える見通しです。

●緊急度低い利用も

 緊急度の低い人の利用への対応も課題です。一〇年に搬送した人のうち軽症者は50・4%(同50・7%)でした。ただ、通報時に軽症に見えても緊急度が高いケースもあり、見極めが重要です。

 出動要請が増え続けるなか、緊急度の高い人を可能な限り救えるよう、救急現場では地道な取り組みが続いています。

 最寄りの救急車が既に出動してしまっている場合、消防ポンプ車が代わりに現場に駆けつけて応急処置をする「PA連携」を行っています。

 また、タクシー代わりの利用や、明らかに軽症なのに救急車を度々呼ぶような利用者には個別指導を行っています。

●119番前の電話相談

 東京都、大阪府、奈良県では、電話相談窓口が二十四時間体制で開設されています。病院に行くか救急車を呼ぶか判断に迷ったときは「#7119」に電話し、具体的な症状を伝えて対応を相談することができます。必要に応じて一一九番へ転送したり、最寄りの病院を教えてもらえます。

 東京消防庁救急相談センターでは、スタッフ(二十三区は五人、多摩地区は二人)が電話をとり、必要な場合は看護師(五人)へ転送します。医師一人が看護師の電話でのやりとりをモニターし、必要に応じて最終判断や助言を行います。

 同センターでは一一年、三十一万二千三百九十件の電話を受けました。このうち、四分の三弱が医療機関の案内で、救急相談は約四分の一でした。うち、救急車の出動要請は14%で、電話受付件数全体に占める割合は約3・6%でした。

 消防庁によると、救急車を一台出動させるのに約四万円のコストがかかるとしています。高齢化社会を迎え、救急搬送の重要性が増すなか、いかに迅速な搬送を行うか、課題が尽きません。

  制作・中島有希

  編集・亀岡秀人

  デザイン・佐藤恵理

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