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【生活図鑑】

ホームレス(No.426) 減少したが高齢化、長期化

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 ホームレス(路上生活者)数は減少してきました。しかし、ホームレスの長期化、高齢化が深刻な問題になっています。このため、期限(10年)を迎えた「ホームレス自立支援法」が、5年間延長されました。データから現状を見てみました。

●03年の半数以下に

 厚生労働省の全国調査によると、ホームレス数は二〇一二年に九千五百七十六人でした。地域的には、東京都と大阪府でそれぞれ約二千四百人など、都市部に多く見られます。

 〇三年の二万五千二百九十六人から見ると年々減少しています。その理由は、自立支援法で、一定期間入所して生活・職業相談を受け自立を目指す自立支援センターや、緊急的な一時宿泊所であるシェルターなどの設置が一定の効果を挙げたことです。また、東京都が進めた、アパートを借り上げ自立を促す地域生活移行支援事業や、自立を支援する民間団体などの活動も功を奏したとされています。

 一方、ホームレスの調査は都市公園などで日常生活(路上生活)をしている人のみが対象です。このため、日本弁護士連合会などは、若年層などでネットカフェや知人宅を転々とする住宅困窮者が含まれておらず、実態を反映していないと指摘しています。

●求職断念6割超

 ホームレスの高齢化が進んでいます。ホームレスの年齢は、〇七年の生活実態調査では、〇三年より五十五歳以上が増加、さらに一二年調査では〇七年に比べ六十歳以上が増えました。平均年齢は五九・三歳でした。

 路上生活の長期化も顕著です。初めて路上生活(野宿)をしてから十年以上になる人は、〇三年に14・8%でしたが一二年に40%を超えています。特に、年齢層では六十歳以上の高齢者、地域では東京二十三区で長期化傾向にあります。一度、路上生活になった後、なかなか自立できず、高齢になったことがうかがえます。

 きっかけは、倒産・失業、仕事の減少などで、直前の雇用形態(一二年調査)は正社員が42%で最も多く、日雇い、パート・アルバイトがそれぞれ20%台でした。

 求職活動の状況でも、調査ごとに「求職活動をしている」割合が減少し、逆に「現在も今後も求職活動をしない」の割合が増加、一二年調査では63・9%にも達しました。「路上生活のままでいい」とする割合も一二年には30・4%になっています。

●実態合った支援課題

 自立支援センターやシェルターの利用低迷が続いています。センターの場合、利用したのは10%程度で、「センターを知らない」が35・3%、また「センターを知っているが利用したことはない」が54・4%に上っています。

 利用しない理由として、集団生活になじめない、プライバシーが保たれないなどの問題が挙げられています。また、入所期間が数カ月程度から六カ月であるため、なかなか自立にまで至りません。短期間の入所では、就職活動も困難です。

 この結果、入所期限の到来とともにセンターを退所(30%)や自主・無断退所など(26%)で、再び路上生活に戻るケースも多くあります。

 厚労省では、巡回相談員による積極的な対応に力を入れるなど、今後、ホームレスの高齢化、長期化に対する支援策を検討していきます。自立に向けての課題が多くあるなか、効果的な対策が望まれています。

 制作・亀岡秀人

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