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【生活図鑑】

老後の生活費(No.430) 月5万円の不足 どのように埋めるか

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 老後の生活資金源として公的年金などに期待が寄せられています。しかし、公的年金などでは収入が足りず、不足額は毎月約5万3000円に及ぶという厳しい現実もあります。このため、年金の支給開始までに2000万円程度の金融資産の準備が必要と指摘されています。老後生活や資金準備の実態を見てみます。

 総務省の家計調査(二〇一一年)によると、世帯主が六十歳以上・無職の世帯(二人以上世帯)の実収入は、公的年金を中心に、月額約二十二万円です。実収入から税や社会保険料を差し引いた可処分所得は十九万円程度です。

 一方、消費支出は食料費など全体で月額二十四万円ほどです。消費支出が可処分所得を上回る「不足分」は月額約五万三千円で、年間では約六十三万円にもなります。

 では、夫婦二人世帯として老後の生活費の不足分はどれくらいでしょうか? 六十歳男性の平均余命は二二・七年です。単純に計算すると、老後の夫婦二人期間の不足分は約千四百万円となります。

 加えて、女性の平均余命は男性よりも五、六年長くなっています。夫婦二人世帯から妻のみの単身世帯になった後の生活をどのようにするかも問題です。生活費は減るものの、収入の柱である年金も減り、老後生活に影響してきます。

●2千万円準備必要だが

 このため、金融広報中央委員会の調査(二人以上世帯)では、公的年金の支給時に最低限準備しておきたい金融資産残高は平均二千万円程度としています。

 しかし、金融資産が十分な世帯は多くありません。同調査では、世帯主六十歳代の金融資産保有額は平均でも約千六百万円です。資産の格差が大きいため、平均値より実感に近い中央値(回答世帯を金額順に並べて中央に位置)でみると、八百五十万円にすぎません。老後を控えた五十歳代も平均約千百三十万円、中央値で五百万円です。

 貯蓄など金融資産を持つのは、老後の生活資金を準備するためです。しかし、実際の準備額は目標に届いていないことになります。

 しかも、金融資産のない世帯が二割を超え、五十歳代では29・1%と三割近くに及ぶ点も見逃せません。

●退職金もローン返済

 会社員ならば、退職金で何とかなるのでは?と考える人もあるでしょう。

 退職金は、一時金のみで支給される場合で平均千三百九十三万円(勤続二十年以上、大学卒の場合)です。一方、五十歳代でみると、持ち家世帯の住宅ローン残高は平均千九十七万円。ほかのローンなども含めると、負債が平均千二百八十万円もあります。

 住宅ローンを抱えている場合、負債の清算後に、老後資金として退職金がさほど期待できないケースも考えられます。

●減る収入、増える支出

 厚生労働省の「国民生活基礎調査」によると、生活が苦しいと答えた高齢者世帯が全体の54%を占めます。この状況が、今後さらに厳しさを増すことも容易に想像できます。

 収入の柱は公的年金です。しかし、物価などの伸びよりも年金額の伸びを抑えるマクロ経済スライドが実施されれば、実質的な価値が下がる見込みです。また、年金の支給開始年齢の引き上げも浮上しています。

 さらに、介護保険や公的医療保険の保険料率引き上げは長期的に避けられません。税制でも消費税率の引き上げなどが予定されています。

 六十五歳まで雇用される仕組みがあるものの、今後、老後生活の資金をどのようにしていくのか悩ましい問題です。

 編集・亀岡秀人

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