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【生活図鑑】

看護師の労働環境(No.438) 深夜・長時間勤務 改善が課題

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 看護職員は、夜勤や交代勤務による24時間体制で医療の現場を支えています。看護師の2交代制での長時間労働の問題も指摘されるなか、労働環境の改善が課題となっています。

 病院で働くスタッフのうち、医師は全体の約一割、看護師は約半数を占めています。入院患者や通院する身にとって、看護師は病院の印象を左右する大きな存在です。

 厚生労働省によると、二〇一〇年の看護職員(保健師、助産師、看護師、准看護師)の就業者数は約百四十七万人。勤務先の内訳は、病院が62%、診療所が21%、介護施設などが9%でした。

 一方、資格があるのに看護職員として働いていない人は〇二年末時点で推計約五十五万人いました。日本看護協会によると、一〇年度の看護職員(病院勤務)の離職率は11%でした。

 厚労省が毎年行っている調査では、所定内給与額(一一年)は月額二十八万九千八百円(平均年齢三七・七歳、勤続年数七・四年)で、年収を計算すると約四百三十一万円でした。一般労働者の平均年収は四百三十八万円(同四一・五歳、同一一・九年)、医師は千二十九万円(同三九・六歳、同五・二年)、放射線・診療放射線技師は四百六十二万円(同三六・七歳、同九・四年)でした。

●2人に1人が2交代制

 看護師の夜勤体制では、三交代制から長時間の夜勤を伴う二交代制へ変更する割合が増えています。一般病棟の二交代勤務者の割合は、厚労省調べでは〇二年に約26%でしたが、一一年には54%へ増加しました。

 急性期医療を担う高度救命救急センター(以下、救命センター)のある病院の看護職員の労働環境を見てみましょう。同協会の実態調査(一〇年)によると、準夜勤と深夜勤を合わせた夜勤の回数は、三交代勤務者(回答者の約三割)の場合、月平均八・三回でした。半数が一カ月間に九回以上夜勤をしており、二連続の深夜勤を一回以上行った人は80・4%に上りました。

 調査対象の救命センターでは六割が二交代制でした。二交代勤務者の夜勤回数は月平均四・八回でしたが、拘束時間の長さが問題になっています。勤務時間が「十六時間以上」との答えが87・7%でした。この間に、仮眠、休憩もありますが、平均の仮眠時間数は「二時間未満」が47・9%と約半数でした。

●「ヒヤリ」経験4割

 一方、医療事故に結びつくような経験「ヒヤリ・ハット」を一カ月に一回以上した看護師は、34・4%と三人に一人に及んでいます。交代勤務別に見ると、三交代では約26%、二交代では約40%でした。二交代勤務者のヒヤリ・ハットの四割は勤務の後半部で起きており、長時間勤務で注意力が散漫になりがちな状況が浮き彫りになりました。離職も救命センターの病院の看護職員のうち49・5%と半数が「考えている」と答えました。

 このため、日本看護協会では夜勤・交代勤務による健康面でのリスクやストレスを減らすため、勤務編成の基準案などを盛り込んだガイドラインの策定を進めています。

 「夜勤・交代制勤務編成の基準案」では、勤務編成をするにあたって「十一時間以上の勤務間隔を空ける」「勤務時間は十三時間まで」「夜勤回数は三交代勤務では月八回以内」などとしています。

 看護職員の健康はもとより、命の現場で患者が安心して治療を受けられるためにも、労働条件の改善が大きな課題です。

 制作・中島有紀

 編集・亀岡秀人

 デザイン・佐藤圭美

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