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【生活図鑑】

生活保護と医療扶助(No.442) ジェネリック医薬品使用を原則化

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 生活保護費の急増が問題になっています。保護費の半分は医療扶助です。また、一部では不正も問題になりました。このため、ジェネリック医薬品(後発薬)使用の原則化などが行われています。医療扶助の現状と課題を整理しました。

 生活保護費は二〇〇九年度に三兆円を超え、急増しています。その原因として、医療扶助の増加が挙げられています。保護費の半分を医療扶助が占める理由について見てみましょう。

●費用の7割は高齢者

 生活保護受給者の50・9%は六十歳以上(一〇年度)です。医療扶助の費用でも、69%を六十歳以上が占めていました。また六十歳未満でも、傷病などを理由に生活保護を受けた割合が37・5%もありました。

 傷病別に見ると、精神・行動の障害が32%でした。また、金額ベースで入院の割合が57・5%と国民健康保険などに比べ、高い結果でした。入院のうち、精神科病棟の入院が38・7%を占めていました。一般に精神関連の病気の場合、入院日数が長くなる傾向にあり、費用もかかるといわれています。

 このため、医療扶助の増加の原因として、費用の約七割を六十歳以上が占めるなど高齢化の影響が挙げられています。また、長期療養が必要な病気が多く、入院が費用の六割にもなっているためとも考えられます。

●過去には不正も

 医療扶助は、自己負担がないため、患者や医療機関に効率化の意識が働きにくく、モラルハザードが起きているのではないか、との指摘もあります。向精神薬を大量入手し転売した事例や、不正受給、医療機関の不正請求などの問題も起こりました。

 さらに、前政権の仕分けや、財政制度等審議会などの議論では「一人当たりの医療費で見ると、生活保護は国民健康保険などよりも高額」と指摘されました。とくに「三十歳から三十九歳は著しく高く、生活保護の特性だけでは説明できない」としていました。

 このため(1)医療機関の窓口で自己負担し、翌月に支払った額を返す(2)ジェネリック医薬品使用の原則化(3)医療機関への指導強化−などを提言しました。

 しかし、自己負担を導入すれば、最低生活保障である生活扶助から負担することになり、生活保護の趣旨に反しかねません。

 また、三十歳から三十九歳は医療扶助の費用の4%しか占めていません。これによって、医療扶助増加の原因とするのは難しいのも事実です。

 この結果、自己負担の実施は見送られました。

●なぜ受給者だけ?

 一方、医療費の抑制のため、国はジェネリック医薬品の利用促進を掲げています。しかし、生活保護では数量、金額とも使用割合が低いと指摘されました。

 そこで一三年度から、医師がジェネリック医薬品の使用が可能と判断した場合は、原則使用する予定です。ジェネリック医薬品の使用を希望しない人については、先発薬を一度処方した後、福祉事務所による健康管理指導などが行われます。

 このほか、向精神薬をはじめとした処方の適正化、指定医療機関の取り消し要件の明確化などを進めていきます。

 医療の必要性が高い生活保護受給者が多いのも事実です。医療は命に関わる問題です。効率化も重要ですが、ジェネリック医薬品を、なぜ生活保護受給者だけに原則として使用させるのかなど、丁寧な説明が求められています。

 制作・亀岡秀人

 デザイン・高橋達郎

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