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【生活図鑑】

税制改正(No.443)  孫への教育資金優遇、富裕層は増税も

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 2013年度税制改正では、個人に対して所得税、相続税などで主に富裕層向けの増税を実施する予定です。一方、教育資金に限っては1500万円まで贈与税を非課税にするなど富裕層向けの減税もあります。

●領収書提示その都度

 今回の税制改正の目玉は、教育資金贈与減税でしょう。お年寄りが二十九歳以下の孫に一人当たり千五百万円まで、教育資金に限って一括贈与しても非課税にする制度です。

 そのうち五百万円までは、学校以外の塾などの月謝にも利用できます。高齢者の保有資金をなるべく早く若い世代に移転し、教育という人的投資に使ってもらい、経済成長にもつなげたいという発想です。

 ただ、この制度を利用できるのは富裕な高齢者に限られます。さらに、信託銀行などに孫名義の口座を作り、大学、高校などの入学金、授業料、塾の月謝などに使う都度、領収書の提示を要求されます。「面倒だ」と感じる人は多いに違いありません。そのハードルを越えて、どこまで利用されるでしょうか。

 それでも、「孫はかわいい」と思うお年寄りは多いはずです。社会の礎である教育に金が使われることは、望ましいといえるでしょう。

 教育資金減税が富裕層へのアメとすれば、相続税、所得税などの課税を強化するのは富裕層へのムチになりそうです。相続、所得増税は、一四年度からの消費税増税に備えてのことでもあります。低所得層ほど実質的な負担が重い消費税の「逆進性」への不満を和らげるため、富裕層にも負担を分け合ってもらおうというわけです。

●相続課税の対象者拡大

 相続税の増税は民主党政権時代の旧政府案とほぼ同じ内容です。まず基礎控除について、現行の五千万円プラス法定相続人一人当たり一千万円を、三千万円プラス同一人当たり六百万円へと、四割減らすことで課税対象者を増やします。課税対象者は一〇年の死亡者数の4・2%から一三年には6%台に増えるとみられます。相続税の対象者は、準富裕層にも拡大するわけです。最高税率を現行の50%から55%に引き上げます。税率区分も八段階として累進性を強化し、この面でも税収増を図ります。

 控除引き下げによる課税対象拡大と税率引き上げの両面で、相続税収は約二千七百億円増えるとされます。

 消費税増税対策であると同時に、富裕層に固定された資産を再分配し、「格差社会」を是正する目的もあります。

●個人所得は累進性強化

 次に所得税は、現在の5、10、20、23、33、40%の六段階の税率に新たに最高税率45%を設け、高所得層への課税を強化します。この二十数年間、個人の所得への課税は、「高所得者の重税感を和らげ、社会の活性化を図る」などの名分で、地方税である住民税も含めて低率・フラット化が進められました。今回、個人所得課税の累進性が強化されます。

 また、所得税の増税は、財政の主要な役割の一つである所得再分配を強化し、「格差社会」を是正することも目的の一つです。

 ただ、今回の最高税率が適用されるのは、収入から各種控除を引いた課税所得ベースで四千万円超であり、対象者は全体の0・1%(約五万人)と少なく、税収増は六百億円ほどとみられます。

 対象者はわずかとはいえ、所得再分配機能が弱められてきた流れを変える一歩になるでしょう。

  制作・川北隆雄

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