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【生活図鑑】

特例水準の解消(No.444) 年金額は段階的に引き下げ

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 将来世代へ負担の先送りを避けるため、本来よりも高い特例水準になっていた年金額の引き下げが2013年10月から始まります。3年かけて2.5%減額します。年金の減額で児童扶養手当なども引き下げられます。

 国民年金や厚生年金などの年金額は、物価変動に応じて、毎年度見直されます。一二年平均の消費者物価は前年比で変化がなく、一三年四月からの年金額は一二年度と同額に据え置かれました。

 具体的な年金額(月額)は、老齢基礎年金六万五千五百四十一円(四十年間保険料を納付した場合の満額)、会社員と専業主婦世帯(モデル世帯、標準的な収入で四十年間働いた夫の厚生年金と夫婦の老齢基礎年金の合計)は二十三万九百四十円です。

●年1兆円過払い

 現在の年金額は、本来よりも高い特例的な水準とされています。これは、物価が下落した二〇〇〇〜〇二年度の三年間に、本来なら年金額も引き下げるところを、高齢者の生活に配慮し特例的に年金額を据え置く措置が取られたためです。

 その後、〇四年に物価上昇時には年金額を据え置き、物価下落時には年金額を下げる仕組みを導入しました。しかし、これでも特例水準は解消されず、本来よりも2・5%高い水準となっています。

 特例水準分の年金過払いは年間一兆円で、既に累計七兆円に達しているとの試算もあります。このため、将来世代への先送りをこれ以上しないため、特例水準を解消することになりました。

●モデルで2千300円減

 年金額の引き下げは、まず一三年十月に1%。さらに一四年四月1%、一五年四月0・5%引き下げて本来水準へ戻す内容です。

 1%の減額で、満額の老齢基礎年金を受け取っている人は、月額約六百六十円下がることになります。また、モデル世帯(夫婦)は月額約二千三百円の減額になります。

 最終的には、満額の老齢基礎年金を受け取っている人で、月額六万三千八百六十六円、モデル世帯で月額二十二万五千四十円で、それぞれ千七百円、五千九百円程度、現在よりも減ります(実際の年金額は、これに物価変動などの影響を受けます)。

 また、この間に物価が上昇すれば、解消時期は早まることになります。

●児童扶養手当なども

 公的年金のほか、母子家庭・父子家庭に支給される児童扶養手当なども、物価の変動に応じて毎年度見直されています。一三年度は据え置きですが、年金と同様に本来より1・7%高い水準が支給されています。このため、年金の特例水準解消に伴い、これらも引き下げられます。

 具体的には一三年十月0・7%、一四年四月0・7%、一五年四月0・3%引き下げられます。

●受給者に厳しい時代

 特例水準解消後の年金額はどのようになるのでしょうか?

 国は現在、デフレの解消を目指し、消費者物価の前年比上昇率を2%にする目標を掲げています。しかし、物価上昇分ほど年金額が上がらない時代になります。〇四年の年金制度改正による、年金財政の健全化のための「マクロ経済スライド」が始まるためです。

 マクロ経済スライドでは、物価上昇率が2%なら、年金額の伸びは1・1%程度になります。名目の年金額は増えても、実質的な年金の価値は減ることになります。年金の特例水準の解消やマクロ経済スライドは、将来世代へ負担を先送りしないためとはいえ、年金受給者には厳しい時代が始まるといえるでしょう。

  編集・亀岡秀人

  デザイン・伊藤潤

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