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【生活図鑑】

どうなった特養待機者(No.449) 真に入所が必要な人は何万人?

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 介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)の入所待ちが、なかなか改善されません。2009年に厚生労働省が申込者数は全国で約42万人と発表して以来、特養待機者が問題化。しかし、その後の調査研究で「真に入所が必要な人は1割強」(約4万人)と報告されました。待機問題は解消されたのでしょうか。

 特養への入所申込者数は、厚労省の〇九年十二月の集計で四十二万一千二百五十九人でした。一人で複数施設の申し込みを行っていた重複などを除いた数で、これが特養待機者と一般に思われてきました。

●10年度調査「4万人」

 しかし、厚労省は、あくまでも入所申込数で、入所が必要な待機者数ではないとしてきました。その後、厚労省の老人保健事業推進費等補助金の調査研究として一〇年度、一一年度に医療経済研究機構が実態調査を行いました。

 一〇年度には、優先度など二つの観点で施設からみて「真に入所が必要」と考える入所申込者は一割強という結果でした。

 具体的には「優先して入所させる必要がある」が10・8%。そう考えた理由として「介護放棄・虐待」(71・3%)、「一人暮らし」(62・2%)などでした。

 また、「現在の生活が困難であり、すぐにも入所が必要」との考えは11・3%でした。

 これらの結果、全国集計四十二万人から推計すると、真に入所が必要な人は四万人としました。

 また、一一年度の研究では(1)特養への申し込みは「将来の不安」でとりあえず申し込んだ人が46・2%(2)本人、家族の考えとして「順番が来ても入所しない人」が半数近い−などが指摘されました。

●実態は十数万人か

 特養入所待ちの人のうち、必要度の高い人は少ないとの結果です。しかし、これで各都道府県の待機問題が解消されたわけではありません。

 例えば、一〇年度の研究を基にしても、「すぐに入所が必要」以外にも「入所の必要はあるが、最大一年程度現在の生活を継続可能」が28・2%ありました。入所待ち四十二万人から推計すると約十一万九千人になります。

 既に調査から一年以上がたち、この十一万九千人はすぐに入所が必要な状態に変わっていることになります。四万人と合計すると、真に入所が必要な人は十六万人に達しているとみられます。この人たちは、どうなっているのでしょうか?

 一一年度の研究でも、ケアマネジャーの考えでは「特養に入所が望ましい」が46・4%あり、四十二万人から見ると、入所が必要な待機者は十九万五千人に上ります。

 しかも、家族の申し込み理由では将来の不安のためという申し込みより「自宅での生活が困難」(70・5%)、「家族の介護が困難」(67%)を挙げる人が多くいます。さらに、在宅の場合、居宅サービスを週に五日から七日受けているケースが30%を超えているなど、深刻な状態であることがうかがえます。

 国は社会保障と税の一体改革で、特養を二五年度には一二年度に比べ一・四倍に増やす計画です。一方で、医療・介護は施設から在宅中心へのしくみづくりを進めています。

 依然として、特養に入りにくいという声は強く、着実な特養待機問題の解決が必要です。

  制作・亀岡秀人

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