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【生活図鑑】

解雇ルール(No.450) 主要国では正当な理由が必要

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 政府の有識者会議などで、解雇ルール(規制)について、議論されています。労働者にとって解雇は収入を絶たれるなど大きな影響があります。このため、主要国ではルールがあり、大きな違いはありません。解雇に関する規制はどのようになっているのでしょうか?

 解雇は、使用者による労働契約の一方的な打ち切りです。一般に、解雇は労働者側の理由によるものと使用者側の理由によるものに分けられます。

 労働者側の理由としては(1)横領をはじめ重大な犯罪やセクハラなど規律違反を理由とする懲戒解雇(2)無断欠勤などで雇用の継続が期待できないなどを理由とする普通解雇−があります。使用者側の理由としては、経営悪化などの理由による整理解雇があります。

 解雇に関する都道府県労働局への相談件数は増加傾向です。一方、「経営上の都合」と「本人の責による理由」による解雇者数は二〇一一年で年間約四十四万人(常用雇用者のみ)でした。

●基本的な規制

 労働契約では使用者と労働者は対等な関係ではないため、解雇にもルールがあります。特に懲戒・普通解雇は、使用者の好き嫌いなど恣意(しい)的な理由での解雇から労働者を守る法令があります。

 わが国では、裁判の判例を積み上げて出来上がった「解雇権濫用法理」があり、労働契約法一六条に明文化されています。それによると、解雇には「客観的に合理的な理由」と「社会通念上相当であるという理由」が必要とされています。

 主要国でも、フランスは解雇に「真実かつ重大な理由」(労働法典)が、ドイツも「社会的に正当な場合のみ」(解雇制限法)、韓国、英国も「正当な理由」が必要として法律に明記されています。

 国際労働機関(ILO)も一五八号条約で、正当な理由がないと解雇できないとしているほか、解雇で争った場合、労働者だけでなく使用者にも不当解雇ではないという立証責任を負わせるなどを挙げています。

 主要国で例外なのは米国で、解雇が自由にできる「随意雇用」を採用しています。ただし、米国でも人種や性別、年齢などによる差別的な解雇は不当解雇とされています。

●整理解雇

 経営悪化などで行う整理解雇は、労働者には責任がない上に多くの労働者が対象になります。このため、基本的な解雇ルールに加え、整理解雇を行う場合の判断基準も設けられています。

 わが国では、判例を積み上げた結果、四つの要件を満たす必要があります。具体的には(1)人員削減の必要性(2)配転や出向、希望退職など解雇回避の努力を行ったか(3)解雇の人選基準と人選に合理的な理由があるか(4)解雇手続きの妥当性−が挙げられています。

 主要国でも同様で、「経営上の必要性」「解雇回避措置を行ったのか」や「人選の合理性」が求められています。

 米国でも労使協定で、勤続年数の長さに応じて昇進や労働環境が優遇される先任権制度が導入されている企業が多くあります。その場合、整理解雇や一時帰休(レイオフ)は、勤続年数の短い労働者から行うルールが確立しています。

●非正規の増加

 労働者の非正規比率も年々上昇し、一二年では35・1%になりました。正社員から非正社員への置き換えが進んでいます。

 非正規でも、解雇に当たる雇い止めについて判例で積み上げたルールを労働契約法に明文化しています。

 制作・亀岡秀人 デザイン・高橋達郎

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