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【生活図鑑】

後見信託(No.451) 流用防ぎ 財産管理容易に

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 成年後見制度の利用が増えるに伴い、後見人による不正も問題になっています。後見人による不正を防ぐなどの目的で、後見制度に信託の仕組みを取り入れた「後見制度支援信託(後見信託)」を最高裁が導入してから約1年。2012年4月から13年3月までの契約件数は165件(利用者は141人)になりました。不正と後見信託の現状をまとめました。

●専門職選任50%超

 認知症や障害のために判断力が不十分な人を保護・支援するための成年後見制度が始まってから十年余り。利用が広がるとともに、後見人などが財産を不正に流用するケースが後を絶ちません。

 最高裁によると、一〇年六月から一二年十二月までの不正件数は千五十八件、特定できた被害総額は九十四億四千万円に上りました。うち親族による不正が千三十二件、弁護士など専門職による不正が二十六件でした。不正の大半は親族による流用でした。

 こうした背景や財産管理などを考え、家庭裁判所が後見人、保佐人、補助人に親族ではなく、司法書士や弁護士、社会福祉士などの専門職を選任するケースが増えています。専門職の選任割合は、後見制度が始まった〇〇年度は9・1%でした。それが一二年には51・5%と、開始以来初めて半数を超えました。

●生活費以外の金銭信託

 不正を防止するため、事前的なチェックとして後見信託が導入されました。

 後見信託では、後見人は日常生活に必要なお金のみを管理し、それ以外のまとまった金銭は信託銀行に預けます。信託財産の払い戻し、解約には家裁が発行した指示書が必要になります。利用できるのは未成年後見と、本人の判断能力がない成年後見の場合です。

 手続きの流れを見てみましょう。後見開始の申し立てなどを受けて、家裁が審理します。家裁は財産状況などから、後見信託の利用が適していると判断した場合、当面の後見人として弁護士、司法書士など専門職を選任します。

 専門職後見人は信託する財産の金額と日常生活に必要な金額を算出して報告書にまとめ、家裁に提出します。信託できる財産は金銭のみです。不動産・動産を売却して換金する必要はなく、株式などの金融商品については売却・換金すべきかどうかを個別に検討します。

 なお、後見信託の利用が適さないと判断した場合は、その旨を家裁に伝え、家裁が再検討します。

●信託額は3560万円

 家裁は後見人からの報告書を受けて、信託金額についての指示書を発行します。後見人は信託銀行に指示書を提出し、信託契約を結びます。元本保証で後見信託向け商品を提供している金融機関は現在四行で、最低受託額や信託報酬はさまざまです。信託契約後、通常、信頼できる親族の後見人に引き継がれます。

 後見信託導入後の一年間で信託契約は百六十五件(利用者数は百四十一人、一人で複数の信託契約あり)に上りました。平均信託額は、件数ベースでは約三千五百六十万円、一人当たりでは約四千百六十六万円でした。日常的な支出のために手元に残した額の一人当たりの平均は三百二十一万円でした。

 また、多額の支出が必要になって家裁へ報告書を提出し、指示書の発行を受けたのは二件でした。施設入所のための費用などで、いずれも当日か翌日に家裁から指示書が発行されました。

 今後、高齢化とともに認知症患者も増加する見込みです。後見制度への信頼がますます重要となるなか、最高裁は「財産管理なども容易な後見信託の利用が今後、広がっていくのではないか」とみています。

編集・亀岡秀人

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