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【生活図鑑】

60歳前半の雇用保険(No.452) 就労形態に応じたサポート

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 60歳以降の就労は、雇用継続などにより同じ会社で働く、起業するなど複数の選択肢があります。雇用保険には、失業時だけでなく、高齢期の就業中に給与が減少した場合の生活を支える給付もあります。高齢期の就労と雇用保険の給付を見てみましょう。

 二〇一三年四月から、企業は希望者全員を六十五歳まで雇うよう義務化されました。六十歳以降も就労する人が増える見込みです。そこで就労形態と雇用保険との関係を、Aさん(六十歳定年、定年直前六カ月間の賃金の平均月額四十万円、定年まで四十年勤続)の例で見てみましょう。

●「失業状態」に基本手当

 Aさんは定年後、退職すると失業給付(基本手当)を受給できます。あくまでも、働く意思と能力があっても就職できない「失業状態」と認められた場合です。

 基本手当の日額は、退職前六カ月の賃金を平均した日額に給付率を掛けた金額です。離職日に六十歳代前半の場合、給付率は45〜80%です。Aさんの場合、月額四十万円から賃金日額を換算すると約一万三千三百円になります。ここから基本手当を計算すると日額約六千円、月額約十八万円です。二十年以上勤務していたため、定年後の原則一年間に通算百五十日分を受給できます。

 基本手当受給中に起業や再就職をすると、どうなるでしょうか?

 基本手当を受給していない日数(支給残日数)が重要になってきます。給付日数の三分の一以上を残して起業や再就職をした場合、再就職手当を受けることができます。給付率は、支給残日数が三分の一以上で50%、三分の二以上で60%です。なお、再就職の場合、離職前の事業主(関連会社を含む)に雇用されていないことが必要です。

 Aさんは、四千七百五十六円の日額上限にかかるため、支給残日数が五十日の場合、手当は約十二万円、百日なら約二十九万円になります。

●雇用継続の場合は

 高齢期に減る賃金を補って雇用継続を支えるために、六十歳以降には二つの高年齢雇用継続給付があります。

 一つは、基本手当の受給を経て再就職した人の高年齢再就職給付金です。基本手当の残日数が百日以上二百日未満なら、再就職先で一年間受給できます。

 毎月の給付額は、離職前と再就職先の賃金の割合で決まります。75%以上なら不支給、75%未満なら割合が低いほど、毎月の賃金額に掛ける給付率は高くなります(61%未満の場合は一律15%)。

 再就職したAさんの賃金が月額二十五万円の場合、給付額は約三万三千円です。ただし、再就職手当とこの給付金の両方は受給できず、どちらかを選ぶことになります。

 もう一つは、雇用継続により賃金が低下した場合に受給できる高年齢雇用継続基本給付金です。受給額は再就職給付金と同じ。異なるのは六十五歳の誕生月まで受給できる点です。最大五年間受け取ると、総額は約百九十六万円になります。

●老齢年金停止や減額も

 会社員の老齢厚生年金は、基本手当を受給するためにハローワークで求職を申し込むと、基本手当の受給終了月まで支給停止となります。また、高年齢雇用継続給付を受ける間、原則として月給(標準報酬月額)の最大6%が減額されます。

 Aさんの年金が月額約十二万一千円とすると、在職老齢年金、雇用継続給付による調整後の年金額は約六万二千円です。

 六十歳代前半の雇用義務化で今後、賃金体系や雇用保険給付、年金がどのようになるのか、注目されています。

  編集・亀岡秀人  デザイン・佐藤恵理

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