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【生活図鑑】

海外療養費(NO.460) 海外での病気に給付、手続きに課題も

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 海外旅行中に急病などで医療機関にかかると、治療費が高額になる場合があります。そこで、健康(医療)保険では、還付により負担を軽減する「海外療養費」を設けています。しかし、請求手続きは煩雑です。不正受給も指摘されました。

 健康保険制度が適用されない海外では、旅行中にけがや病気で医療機関にかかると、国によっては高額な治療費を請求されるケースがあります。このため、損害保険会社の「海外旅行傷害保険」に加入して旅行に出かけた経験を持つ人も多いでしょう。

 案外知られていないのが、健康保険で負担が軽くなる海外療養費制度です。会社員などの健康保険では一九八〇年の制度改正から、自営業者や無職の人などが加入する国民健康保険では二〇〇一年一月から実施されています。

 海外療養費の統計は整備されていません。国保の利用状況が〇七年度まで分かります。

 それによると、当初は二〇〇〇年度が三十件、一部負担金を合わせた費用額は八十四万四千円、〇一年度は千八百十件、一億二千百六十五万円でした。それが〇七年度には一万二千六百七十三件、六億八千九百九十万円まで増加しています。

 国保の療養費全体の件数から見れば、利用が増えたとはいっても、まだまだ知られていません。

●治療目的は支給せず

 海外療養費の仕組みは次のようなものです。海外の医療機関で支払った医療費のうち、日本の健康保険制度で認められている部分について、日本国内で治療を受けたとしたら医療費がいくらかを算定します。国内と同様に、自己負担が三割なら、七割を給付金として支給します。

 支給には条件があります。旅行、出張などでの渡航が対象です。国保では、海外での短期滞在(原則一年以内の短期渡航)者を対象としています。しかし、治療目的で海外に渡航したような場合、海外療養費は支給されません。

 例えば、臓器移植や不妊治療は治療目的の渡航であり、美容整形などは保険適用外で、海外療養費としては認められません。

●明細書の和訳必要

 手続きは、現地で医療機関に診療内容明細を記入してもらう必要があります。帰国後、支給申請書に診療内容明細書や領収明細書を添えて協会けんぽや健康保険組合、国保なら市区町村など、加入している保険者へ提出します。この際、診療内容明細書などは日本語訳を添える必要があり、翻訳者の住所や氏名も必要です。

 支給額算定に用いる為替レートは、支給決定日の換算率を用い、医療費を支払った時点ではありません。こうして計算された医療費のうち自己負担割合を除いた額が給付されます。

 海外療養費が制度としてあるにもかかわらず、周知不足や請求手続きの煩雑さが制度を使いにくくしている面があります。このため、事前に必要書類を備えている健保組合や国保もあります。

 一方、不正受給問題も指摘されました。適切な制度運営がされるよう望まれます。

編集・亀岡秀人

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