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【生活図鑑】

終末期医療と事前指示書(No.462) 賛成は7割、実際に作成は3%

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 人生の終末期をどのように迎えたいのか、延命治療を希望するのかなど、終末期の医療について関心が高まっています。特に、受けたい終末期医療を期した事前指示書などへの関心が高まっています。厚生労働省の5年ぶりの意識調査を中心に考えています。

 厚労省の終末期医療についての意識調査(二〇一三年)によると、終末期にどのような医療を受けたいのか、家族で話し合ったことがあるとの答えは、「詳しく」と「一応」の合計で42・2%でした。逆に「全く話し合ったことがない」のは55・9%でした。

 自分が判断できなくなった場合、どのような治療を受けたいかなどを記載した「事前指示書」をあらかじめ作成することに賛成する人は69・7%でした。医師など医療従事者では七割から八割強が賛成しています。

 前回調査では、治る見込みがなく死期が近い場合、延命拒否することをあらかじめ書面化しておく「リビングウイル」の作成に賛成した人は61・9%でした。終末期に受けたい医療について何らかの意思表示を書面化することに賛成する人が多くなっています。

 しかし、指示書やリビングウイル作成に賛成する割合は多いものの、実際に指示書を作成している人は3・2%しかいません。

●法的根拠なし

 国立長寿医療研究センター(愛知県大府市)などは事前指示書の作成を始めています。しかし、指示書を作成する医療機関は、まだ多くはありません。

 また、事前指示書やリビングウイルに従って治療することを義務化した法律はありません。意識調査では、指示書などに従った治療を行うことを法律で定めることに賛成なのは22・2%と少数派でした。53・2%が定めなくてもよいなど法制化に消極的な考えでした。

 医師では賛成が16・3%で、71・3%が法制化に消極的でした。ある医師は「治療方針は、患者や家族などの意思を確認しながら行っているので、法制化までは…」としています。

 本人が判断できなくなった場合、治療方針を家族で決めてほしいとの答えが多くありました。しかし、代理人などを法律で定めることには六割の人が消極的です。

●議論の積み重ね必要

 厚労省や学会の終末期医療に関するガイドラインを見ると、終末期や指示書について言及していないところもあります。

 ガイドラインについても、病院施設長では、知らない、活用していないが合わせて約八割もありました。また、医師では知らない、参考にしていないが約六割に達していました。このため、厚労省は全日本病院協会に医療・福祉関係者へガイドラインを周知するよう要請しました。

 また、事前指示書の作成は本人の意思で行えても、実施の決定には本人の意思が及ばないという難しさがあります。

 このため、指示書やリビングウイルをどのような内容、様式にするのか▽作成にあたっての有効性をどのように判断するのか▽終末期の判断を誰が行うのか▽医療技術の進歩で、指示書作成時にはなかった治療法が確立されている場合など、誰がどのように判断するのか−といった課題があります。

 これまでも、議員立法による尊厳死法案が検討されてきました。ドイツでは〇九年に議論の積み重ねの上、「事前指示書」などの法制化が行われました。高齢社会の日本で、終末期医療のあり方や意思表示をどのように行うのかは重要な問題です。法制化を含め、さらなる議論が必要なようです。

 制作・亀岡秀人

 デザイン・川端乙大

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