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【生活図鑑】

保育士(No.463) なり手不足深刻化 低賃金の改善急務

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 待機児童解消と保育の充実のためには、保育士のなり手をいかに増やすかが課題です。なかでも保育士の処遇改善は欠かせません。国も対策に乗り出しました。保育士の現状と課題は?

 厚生労働省委託調査(二〇〇九年度)では、保育所の利用増加に伴い、一四年度末に常勤換算で四十万九千人、一七年度末に約四十六万人の保育士が必要と試算しました。これを基に厚労省は入職・離職などの状況を考慮し、一七年度末には約七万四千人の保育士が足りないと推計しています。

●平均月収20万円

 やりがいのある仕事として保育士になったものの、責任の重さの割には賃金など労働環境が見合っていません。厚労省の委託調査(一一年度)では「勤務内容に対して給与が安い」と感じる保育士が52・2%もいました。

 例えば、一二年の賃金構造基本統計調査によると、保育士(民営)の平均月収は二十万八千二百円で、全職種平均の二十九万七千七百円より約九万円低くなっています。

 認可保育所の約93%が加盟する全国保育協議会の調べ(一一年)では、初任保育士の残業代を除く年収は平均二百四十三万一千円で、手取りは月額十四万円ほどと、他産業に比べて低いと指摘していました。保育士を統括する立場の主任保育士でも四百七十七万六千円でした。

●以前より責任は増加

 また、正規職員の年次有給休暇取得日数は平均三・三日と全産業の八・六日と比べても少なくなっています。さらに、延長保育や、児童の食物アレルギーへの対応などで責任を感じる保育士が多くなっています。

 離職率は10%ほどといわれ、勤続年数は七・八年と全職種平均の一一・八年より四年短くなっています。離職理由は労働条件のほか、保育士の大半が女性であるため結婚・出産、子育てとの両立の難しさが挙がっています。

 国は、保育士確保策として、一二年度の補正予算で四百三十八億円をかけ(1)賃金などの労働条件改善(2)保育士の育成(3)保育士の資格を持っているのに保育の職についていない潜在保育士の再就職支援−などを実施します。

●国、新しく支援制度

 処遇改善では、安心こども基金を活用し、職員の処遇改善計画を提出した私立の認可保育所に、費用の補助を四月から始めました。保育士のほか、調理師、事務職など保育所に勤務する職員が対象です。正規、非正規は問いません。また、賃金アップは一時金などの支給も認めています。

 補助を受けるには、保育所が処遇改善計画を作成し、市区町村に申請します。機械的な試算では、月額ベースで三十万円(賞与など含む)の保育士なら月約八千円、主任保育士なら月一万円の賃金アップが示されました。ただし、厚労省は「具体的なアップ額や対象者は、保育所ごとの判断なので一概には言えない」としています。

 大学など保育士の養成施設を卒業しても保育所に勤める人は約五割で、二割近くが一般事務などの職に就いています。そこで、保育所への就職支援を強化します。

 また、潜在保育士は一一年で約六十八万人です。労働条件などが合えば、保育の職に就く可能性のある人が約三割います。支援センターを設置して、就労を促していきます。

 保育士の人材確保は、待機児童解消の第一歩です。保育士が増えれば、保育士不足で認可外だった保育施設も将来、認可保育所へ移行することも考えられます。

 編集・亀岡秀人

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