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【生活図鑑】

非正規公務員(No.466) 3人に1人 官製ワーキングプア

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 保育士をはじめ、身近な公共サービスを担う公務員の非正規化が進んでいます。地方公共団体での非常勤職員などは60万から70万人にも上り、3人に1人が非正規職員との推計もあります。官製ワーキングプアとも、もう一つの非正規問題ともいわれる非正規公務員の現状は?

 総務省は、非正規公務員の場合、雇用期間は基本的に一年以内(更新可能)としています。同省によると、地方公共団体での臨時・非常勤職員数は二〇一二年四月で六十万三千五百八十二人でした。調査対象は、六カ月以上勤務(または勤務見込み)で、一週間あたりの勤務時間が十九時間二十五分以上の職員のみです。

 短時間勤務なども含めた自治労の調査(一二年度)では、地方自治体(教員、消防、警察は除く)の非正規比率は33・1%で、非正規公務員数は約七十万人と推計しました。

 総務省と調査対象が違うことを考慮しても、地方自治体で六十万から七十万人が非正規として働いていることになります。また、国家公務員では非常勤職員が十四万二千五百三十九人(一二年七月)でした。審議会委員や保護司など非正規と捉えにくい人を除くと約七万人になります。地方公務員と合わせると八十万人ほどになります。

●子育て職種で進む

 具体的にどのような職種で非正規化が進んでいるのでしょうか。

 自治労調査によると、学童指導員で92・8%、消費生活相談員86・3%、図書館職員67・8%、学校給食関係職員64・1%、保育士52・9%と、子育てや消費者問題を扱う職種で非正規化が五割を超えていました。

 賃金は、日額・時給型の平均時給が九百五十円。フルタイム(週三十八時間四十五分)で一年間働いたと仮定すると、年収は百九十一万四千円になります。月給型の平均月給は十六万円で、年収は百九十二万円でした。

 いずれも年収は二百万円以下であり、官製ワーキングプアと指摘されています。しかも、これら非正規公務員がケースワーカーとして、生活保護の窓口で活動するという不思議な事態も起こっています。

 このほか、退職金などもほとんどが支給されていません。休暇の取得も十分ではないとされています。このため、総務省は〇九年に、報酬、休暇などについて適正化を求める通知を出したほどです。

●問題点

 賃金以外にも問題点は多くあります。

 非正規公務員の六割は、勤務時間が正規と同じか四分の三以上でした。この場合、民間なら年金、健康保険は正規と同様の厚生年金、健康保険組合などに加入します。しかし、非正規公務員は、独自の規定があり共済に加入できません。このため、年金は厚生年金、健康保険は協会けんぽに加入しています。

 また、任期が二カ月以内なら非正規公務員自ら国民年金、国民健康保険に加入しなければなりません。事業主負担を免れるため、あえて二カ月以内の雇用期間にしている例も多いと指摘されています。

 一方、非正規でも公務員であるため、雇用されても労働契約とされていません。公務員は労働契約法やパート労働法では適用除外となっています。このため、労働法上の権利が一部しか適用されず、さらに非正規であるため、例えば雇い止めになった場合も、救済が難しいのが現状です。

 こうした非正規公務員の増加について、地方自治総合研究所の上林陽治研究員は「公共サービスがいずれ十分に行えなくなる危険性があることを示している」と懸念しています。

  制作・亀岡秀人

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