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【生活図鑑】

新卒雇用(No.470) 4割が非正規で初就職 正規への転職困難

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 初就職時の非正規雇用の増加など、若者を取り巻く雇用環境は厳しい状況が続いています。初めて就いた仕事が非正規職員としての雇用だと、特に男性は正規雇用に比べて継続する比率が低く、不安定な雇用から抜け出しにくくなる悪循環に陥る可能性があります。

●女性の半数が非正規

 総務省の就業構造基本調査によると、初めて就職した際に非正規雇用だった人の割合は一九八七年十月〜九二年九月の13・4%から右肩上がりに増加しています。

 二〇〇七年十月〜一二年九月は39・8%でした。男女別では、男性の約三割、女性の約半数が非正規労働者としての採用でした。二十年前に比べると、男性は三・六倍、女性は二・六倍に増加しました。

 背景には、景気低迷で企業が正社員の採用を絞った影響が考えられます。企業の売上高に占める人件費の割合を見ると、例えば製造業では九〇年代は17%を上回っていましたが、二〇〇〇年以降は12%台まで低下し、ここ数年は14%台にとどまっています。製造業では、新興国などとの激しい価格競争に生き残るため人件費を抑制したのではないか、と思われます。

 大学の新卒者を見ても▽パートやアルバイトなど一時的な仕事▽非正規雇用▽就職していない−など安定的な雇用に就いていない人の割合は、一時減少傾向でした。しかし、リーマン・ショック後、再び増加傾向に転じています。

 一方、卒業後、職に就かなかった期間が長くなるほど、正社員として採用される割合は低下しています。就業構造基本調査では、卒業から三年以上五年未満で男性は四人に一人、女性は二人に一人が非正規での採用でした。

 新卒で正社員に採用されず、期間を置いて再チャレンジと考えても、難しい状況です。

●男性は5年内に半減

 初めて就職して非正規雇用だった場合、その後の状況は厳しいものです。とくに、男性では初就職先での離職割合が高くなっています。非正規の場合、初めて就職してから四〜五年の時点で、女性の継続率が60・3%だったのに対して、男性は48・2%。非正規の男性の半数以上が五年以内に辞めていることになります。

 厚生労働省の雇用動向調査(一二年)で仕事を辞めた理由を見ると、男性の場合、十九歳以下では「労働条件が悪い」、二十歳代前半は「契約期間の満了」、二十歳代後半は「収入が少ない」、三十歳代前半は「会社の将来が不安」が最も多くなっていました。

 女性の場合は、二十歳代まではいずれも「労働条件が悪い」が最も多く、三十歳代前半は「契約期間の満了」がトップでした。男女ともに、労働条件への不満が高くなっていました。

 非正規だった人が離職しても、正社員へ転職できる割合は高くありません。過去五年間に転職した人のうち、非正規から正規へ転職できたのは約四分の一にとどまっています。

 初めての就職が非正規の場合、特に男性は離職率が高くなり、転職後も非正規の仕事に就くリスクが高まります。

 若年層が不安定な雇用の悪循環に陥り、経済的な基盤や将来展望も持てなくなると、結婚などの人生設計に大きな影響を与えます。長期的には社会全体の活力低下につながりかねず、対策が必要です。

 制作・中島有希

 編集・亀岡秀人 デザイン・高橋達郎

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