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【生活図鑑】

買い物弱者(No.478) 地方だけでなく都市部でも問題

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 「買い物弱者」や「買い物難民」と呼ばれる人が増えています。経済産業省の試算では600万人、農林水産省では食料品の買い物が困難な高齢者は380万人から1100万人とされています。背景には高齢化や単身世帯化、過疎化などの影響があり、地方だけでなく三大都市圏でも深刻になっています。

 買い物というと、ただちに生命に危険を及ぼす問題とは捉えにくい面がありました。しかし、食料品などの購入が難しくなると、十分な栄養もとれず、健康や生活面にも影響が出てきます。

 さらに、買い物が思うようにできない人は、ほかにも問題を抱えている場合が多くあります。このため、国も買い物弱者を重要な問題として捉えています。

●高齢化、単身化で

 買い物が困難になる背景として、高齢化、単身化、過疎化による小売業の廃業などが挙げられています。

 高齢者は体力的な問題から、食料品など日常的な買い物が困難になりがちです。しかも、一人暮らしの高齢者は年々増加しています。団塊の世代が七十五歳になる二〇二五年ごろには、七十五歳以上の高齢者は二千百万人を超える見込みです。

 経産省では、内閣府の意識調査を基に、六十歳以上で買い物弱者とされるのは約六百万人と推計しました。

 また、農林水産政策研究所では、生鮮食料品店まで五百メートル以上の六十五歳以上の人口は千百万人、うち自動車を持っていない人は三百八十万人と推計。食料品を購入できないフードデザート(食の砂漠化)問題として対策に取り組んでいます。

●商店がなくなった

 高齢化以外にも、小売業の廃業が買い物弱者の背景にあります。商業統計では、一九八〇年代をピークに小売業の店舗数は減少しています。

 過疎化の影響で、地方ではシャッター通りが増え、さらには公共交通機関も廃止になっています。郊外にショッピングセンターができても、公共交通機関がなく、自動車などを保有していなければ、買い物が難しくなります。

 七十歳以降になると、自動車運転免許を持たない割合が多くなります。とくに女性の保有率は低い状況です。単身高齢者は女性が増加する見込みで、買い物弱者対策が必要な状況です。

 地方だけでなく、都市部のニュータウンなどでも同じ状況が起こっています。ニュータウンは、もともと商店などのない地域に住宅地を造成した結果、小売店までの距離が遠い地域があります。

 とくに、団塊の世代は現役時にニュータウンから都心に通勤し、深夜に帰宅する生活を送ってきた人が多く、高齢になった今、買い物が困難な状況になっています。自動車を持たず、食料品の購入が難しい三百八十万人のうち、百六十万人が三大都市圏に集中。今後、都市部の高齢化も急速に進むため、大きな問題です。

●対策は

 国や自治体もコミュニティーバスや、宅配など買い物支援対策を実施しています。しかし、買い物支援は、事業採算がとりにくいなどの課題があります。地域の実情に合った対策や制度化をどのように行うのか?

 直ちに買い物に支障がなくても、健康上や経済面の理由から買い物弱者になる可能性が誰にでもあります。総合的な買い物弱者対策や環境整備が求められています。

 制作・亀岡秀人

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