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【生活図鑑】

退職金と税金(NO.479) 一時金か年金か 税の仕組みは?

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 定年時に受け取る退職金は、まとまった金額になるだけに、税金が気がかりです。また、退職後の年金も所得税や住民税の対象になります。会社員は現役時代、勤務先任せでほぼ済んでいたために、税金は複雑、縁遠いと感じがちです。退職金や年金にかかる所得税・住民税の仕組みを見てみましょう。

 厚生労働省の調査(二〇一三年)では75・5%の企業が退職金を支給しています。退職金制度がある企業のうち、一時金のみが約66%、年金のみが約12%、両制度の併用が約23%です。

 退職一時金か退職年金かによって、受取時の所得税・住民税の課税の仕組みが異なります。

 同調査によると、勤続二十年以上かつ四十五歳以上の定年退職者のうち、勤続三十五年以上の退職一時金の平均支給額は、大学卒(管理・事務職等)で千五百六十七万円、高校卒(同)で千四百七十万円です。退職年金のみの場合、大卒は二千百十万円、高卒で千八百二十二万円でした。両制度併用の場合は大卒で二千五百六十二万円などとなっています。

 そこで、一時金と退職年金の場合、それぞれ課税がどうなるのかを大卒で比較してみます。比較に際して、一時金を千六百万円、退職年金を二千百万円で計算。期間は平均余命などを考慮し六十五歳から二十年で、一時金はその時点で全額残っていると仮定しました。

 また、あくまでも単純比較のため、収入は公的年金二百万円のみ、控除は年金、基礎、配偶者のみとして、六十五歳時点の年間の課税と所得を比較しました。

●一時金は単独で課税

 まず一時金の場合、退職所得は他の所得と合計せず、単独で税額を計算する分離課税です。勤続三十八年の人が千六百万円を受け取るとすると、勤続年数に応じて決まる退職所得控除は二千六十万円。控除内なので非課税です。

 年間の収入は公的年金のみの二百万円なので、公的年金等控除は百二十万円。ここから基礎控除、配偶者控除を差し引き、課税所得は四万円。税額は所得税が二千円、住民税が一万八千円になります。一時金を二十年間均等に受け取ったと仮定すると八十万円。このため、課税後の見かけ上の手取り額は約二百八十万円になります。

 退職金を年金形式で受け取る退職年金の場合、公的年金との合計額から公的年金等控除を差し引いた金額が所得額(雑所得)です。

 退職年金二千百万円の場合、二十年間、均等に受け取ると年百五万円。公的年金と合わせると年間収入三百五万円です。ここから同様に所得税を計算すると五万四千五百円、住民税は十二万三千円になります。税金を差し引いた手取り額は約二百九十万円です。

●他の所得に注意も

 試算では、年間の手取り額は十万円ほど違うことになります。実際、一時金、退職年金のどちらの納税額が少なくて済むかは個々のケースによります。しかし、注意も必要です。

 退職年金の場合は、家賃収入など他の所得が増えることにより、所得全体に適用される所得税率が上がるケースもあります。また、所得額に応じて納付する国民健康保険料、介護保険料や医療費の自己負担割合(一割または三割)に影響することもあります。

 とはいえ、退職金の受け取り方を選択できる企業は少ないのが現実です。受け取り方が選択できる場合は、住宅ローンの清算など、資金の使途なども考えながら総合的に検討した方がよさそうです。

 編集・亀岡秀人

 デザイン・佐藤恵理

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 次回は1月8日に掲載します。

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