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【生活図鑑】

ブラック企業(NO.481) 若者使い捨てる労働実態

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 若年層を中心に長時間労働などを強いて労働者を使い捨てにする「ブラック企業」が問題になっています。厚生労働省も調査を実施し、深刻な事態が浮かび上がりました。

 ブラック企業には、明確な定義がありません。指摘されているのは、離職率が高く、低賃金で長時間労働を強いて、主に新卒者など若年労働者を使い捨てにする−といった企業による労働環境の破壊です。

 連合総研の調査によると、二十代の四人に一人が、勤め先がブラック企業だと認識していました。とくに残業時間が一カ月六十時間以上になると、四割がブラック企業だと考えていました。

 さらに、ブラック企業に勤めていると考える人の三割は、長時間労働で体調を崩した経験がありました。また、ブラック企業だと認識する正社員の約五割は、年収四百万円未満でした。

 違法と思う働き方では「残業代の不払い」と「有給休暇を取れない」が挙げられています。しかし、違法と認識しても二十代、三十代は「何も行動しない」との答えが男女ともに三割を超えていました。なかでも「行動しないで仕事を辞める」が二十代で四人に一人など、問題が表面化しないまま離職する傾向にあります。

●5人に1人長時間労働

 法定労働時間は週四十時間と定められています。しかし、週の労働時間が六十時間以上の就業者の割合(労働力調査)は、三十代男性の場合、二〇〇四年で約24%でした。その後、低下したものの18%台で推移。就業者の五人に一人が長時間労働を強いられています。また女性では二十代が4・4%で最も多くなっていました。

 厚労省の基準では、月の時間外労働(残業)が八十時間を超えると過労死ラインとされ、週六十時間以上の労働なら、残業が月八十時間を超えていることになります。

 また、有給休暇の取得率も一三年で47・1%と、主要国に比べ極端に低くなっています。

 このため、体調を崩す若年層も多くいます。一二年度に精神障害を理由に労災が支給された人の54%は三十代以下でした。

 大学など新卒の離職率を見ると、リーマン・ショックまでは低下傾向にありましたが、その後、一年目、二年目の離職率が上昇しています。

●違法な働かせ方横行

 厚労省も一三年九月に「ブラック企業」と思われる五千百十一事業所について監督を実施。82%に当たる四千百八十九事業所が、違法な働かせ方をしていました。

 具体的には、違法な残業が約44%。賃金不払い残業をさせていたのが約24%。一カ月百時間を超える残業を行った場合に医師の面談を受けさせていなかったなど、過重労働による健康障害防止対策が取られていなかったのが1・4%ありました。また、健康障害防止対策や労働時間の把握が不十分で指導を受けた事業所は、それぞれ20%を超えています。

 悪質な事例では▽長時間労働で精神障害を発症し労災請求しているのに、その後も月八十時間を超える残業をさせていた▽社員の七割を管理職として残業の割増賃金を支払っていなかった▽賃金が約一年にわたり支払われていなかった−などが挙げられています。

 こうした労働問題の相談先としては、労働組合や労働基準監督署、労働局などがあります。また、厚労省は一四年度から休祝日でも電話相談できるフリーダイヤルの設置を計画しています。

 制作・亀岡秀人

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