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【生活図鑑】

厚生年金基金の解散(No.485) 給付が大きく減る場合も

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 十分な資産や積立金がない基金の解散を柱とした厚生年金基金制度の改革法が4月から施行されます。基金は、老後を支える重要な企業年金です。解散条件や、年金はどうなるのでしょう。

 厚生年金基金は、公的年金である厚生年金の運用・給付の一部を国に代わって行い、独自の給付を上乗せする年金です。代表的な企業年金でしたが、バブル経済崩壊後、運用が難しくなり、特に二〇〇〇年以降、解散や他の企業年金への移行が進んでいます。

 ピーク時に千八百を超えていた基金数は、一二年度末で五百六十に減少。約四百二十万人が加入しています。大半が総合設立型(同業種や同地域の企業によって設立された基金)で、中小企業が多く加入しています。

 投資顧問会社のずさんな運用や、横領などを機に、基金の資産が十分でない構造的な問題が明らかになりました。このため、改革法が施行されます。

●2割は5年以内解散

 改革法は(1)施行日以後、基金は新設できない(2)基金の保有する資産が、公的年金の代行部分に必要な積立額(最低責任準備金)に満たない「代行割れ基金」については、施行日から五年以内に解散を促す(3)施行日から五年経過後は、基準を満たさない基金について解散を命令する−などが柱となっています。

 また、代行部分の分割納付期限の延長や、事業所間の連帯債務を外すなどの特例解散を認めました。

 厚生労働省の定めた存続基準で見ると、「代行割れ基金」は、最低責任準備金に対して積立金が一未満(100%未満)とし、一以上一・五未満(100%以上150%未満)を「代行割れ予備軍」、一・五以上(150%以上)を「健全基金」としています。

 二〇一二年度末で、既に解散、代行返上を決めた基金(百三十七基金)を除き、代行割れ基金は約二割、予備軍が約七割、健全基金が約一割でした。

 解散や他の企業年金へ移行するには、公的年金である代行部分の給付に必要な額を国に返さなければなりません。しかし、代行割れ基金はその資産がなく、国に返すためには基金の母体企業が資金を出す必要があります。企業経営や従業員(加入者)の賃金、受給者の年金などに影響が出ます。

 基金の上乗せ給付額は月額七千円から一万六千円です。信託協会の資料によると、一時金選択者を除いた場合の上乗せ年金の平均額は約一万四千円とされています。単純に試算すると、六十歳女性の場合、月額一万四千円×十二カ月×二十八年(平均余命)=約四百七十万円の年金が失われる恐れがあります。

●上乗せ確保は困難か

 一方、代行割れ予備軍でも、代行部分の返上により、上乗せ年金の減額、掛け金の引き上げ、さらには企業経営、従業員の賃金に影響することも考えられます。

 法律では、母体企業が給付義務を履行するよう国が指導を行うことが盛り込まれました。また、上乗せ給付についても極力確保するため、他の企業年金に移行しやすくする仕組みも盛り込まれています。

 しかし、中小企業が多く加入していた適格退職年金が一二年度末で廃止された際、中小企業退職金共済制度を除き、実質的に企業年金に移行できたのは、確定給付型二割、確定拠出型一割の計三割にすぎません。

 受給者・加入者の老後に大きく影響するため、説明が重要になります。

 制作・亀岡秀人

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