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【生活図鑑】

難病の医療費助成(No.492) 広く薄く支援する制度に転換

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 難病患者への医療費助成を定めた法律案が国会に提出されました。医療費助成の対象となる難病を従来の56から約300へ拡大する一方、患者の自己負担限度額を見直しました。これまで医療費が全額支給されていた重病患者を含め、最大で月3万円の自己負担が求められます。

 難病の医療費助成は、法律ではなく、一九七二年に策定された難病対策要綱に基づいて実施されてきました。今回、法制化により、新制度として難病対策が実施されることになります。

●対象疾患は約300

 三千以上ともいわれる難病のなかで、助成対象をどのように広げていくのかが課題でした。このため、新制度では、医療費助成の対象となる疾患を約三百に拡大し、対象患者も約百五十万人に上ります。

 指定の条件は、▽客観的な診断基準か、それに準ずるものがある▽患者数が人口の0・1%程度以下▽原因不明▽治療方法が未確立▽生活面への長期の支障−となる見通しです。

 従来、医療保険の自己負担割合は三割で、所得に応じて一カ月当たりの負担限度額が決まっています。重症患者と認定された場合は、自己負担がありませんでした。

 新制度では、自己負担割合を三割から二割に抑えます。助成の対象となるのは、疾患ごとに、日常生活などに支障があると認定された場合です。軽症者は対象外で、広く薄く支援する制度に転換します。

●超重症でも自己負担

 一方、所得に応じた負担額も見直しました。ただ、当初の厚生労働省案では負担が重過ぎるなどの批判を受け、軽減が図られました。その結果、一カ月の医療費総額が五万円超の月が年六回以上ある重症患者について「高額かつ長期」という区分を設け、所得により、自己負担額を月二千五百〜二万円に設定。重症ではない一般患者は月二千五百〜三万円としています。

 これまで自己負担のなかった、筋肉が萎縮する「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」で人工呼吸器などを装着している超重症患者にも、月千円の負担を求めます。

 自己負担限度額に含まれていた入院時の食費について、新規認定患者は全額自己負担になります。既に難病認定されている患者は、三年間の経過措置として負担の軽減が図られます。

 厚労省の試算では、新たに難病認定される約五十万人の患者の自己負担は、月額約一万一千九百円から約三千八百円に下がります。既に認定されている患者は約九割で負担が増え、約千三百円から約二千九百円に上がるとしています。

●難病指定医が診断

 法制化により、難病の治療・研究体制も新たに制度化されます。まず、都道府県が指定する「難病指定医」が設けられます。診断して医療費助成申請のための添付書類を作成し、難病患者データの入力をします。日ごろの診察や治療は、難病指定医のほか、同医と連携したかかりつけ医でも受けることができます。

 また、都道府県は原則として一カ所以上、総合型の「難病医療拠点病院」を指定します。同病院には複数の難病医療コーディネーターが配置されます。また、地域で適切な難病の治療を受けられるようにするため、二次医療圏(複数の市町単位)に一カ所程度、「難病医療地域基幹病院」の指定が行われる見通しです。

 法成立後、厚労省は第三者委員会をつくり、助成対象疾患や患者の基準を決めます。認定されている疾患と新規疾患の一部への助成は一五年一月から。同年夏には全面的に施行される予定です。

 制作・中島有希

 編集・亀岡秀人

 デザイン・川端乙大

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