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【生活図鑑】

非結核性抗酸菌症(NTM症)(NO.493) 肺MAC症 有効な治療法なく 患者増加

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 結核の症状に似た非結核性抗酸菌症(NTM症)が増加しています。なかでも肺MAC(マック)症は中高年女性に多く、根治する治療法も確立していません。人から人へはうつらないなどを理由に、研究体制も十分ではなく実態も不明でした。有効な治療法もないまま患者数は増加し、死亡者数が年間1000人を超えたという研究もあります。

 NTM症は、結核菌と同じ仲間の菌が起こす病気です。現在、菌は百五十から百六十種類ほどが知られ、そのうち数十種類が症状を引き起こすといわれています。菌は、風呂場などの水回りや、土の中など自然界に生息し、菌を含んだ水やほこりを吸い込むことで感染すると考えられています。

 感染しても、自覚症状がほとんどありません。発症し進行すると、せきが止まらない、たんが出る、微熱や倦怠(けんたい)感が続くなど、結核に似た症状になります。一般的に進行は遅く、日常生活で気づかない場合も多くあります。放置すると肺が侵され呼吸不全に陥ったり、喀血(かっけつ)を繰り返したりして、命の危険もあります。

●人から人へは感染せず

 結核との違いは、人から人へうつることがない点です。また、菌を吸い込んでも、発症しない場合もあります。一般的に、抵抗力が弱っていた場合や、遺伝的なものが発症の原因と指摘されていますが、どのような人が感染し発症するのかなどは詳しく分かっていません。

 NTM症で代表的なものとして、アビウム・コンプレックス菌による「肺MAC症」が約七割、カンサシ菌による「肺カンサシ症」が二割を占めています。

 肺カンサシ症は、二十代男性に多いとされています。ただ、増加傾向になく、また治療薬があり効果を期待できます。

●女性に多い

 一方、肺MAC症は従来、中高年女性に多いとされていましたが、最近はCT検査の普及で、三十代、四十代でも見つかるケースが増えています。有効性の高い治療薬がなく、数も限られています。重症化すると手術が必要ですが、治療期間や治療法などは定まっていないのが現状です。

 肺MAC症の患者数は以前の報告によれば、一九七五年には十万人あたり一人であったものが、二〇〇七年の統計では五・七人と増加。欧米より発症する割合が多いとする報告もあります。また有力な研究では、地域的には中部以西で患者数が多いとされています。

 NTM症の死亡者数は年々増加しており、一〇年には千人を超え、大半が肺MAC症だったとする研究もあります。

 〇八年に日本結核病学会と日本呼吸器学会が合同で、従来に比べて簡便で実用的な新しい診断基準を発表し、軽症例の診断も可能になったため患者数なども増加しているのではないか、と考えられています。

 しかし、診断基準が刷新されてからは全国調査なども行われず、実態解明は遅れています。

●課題

 NTM症は、以前は結核と併記することにより治療費の公費負担がありました。しかし、〇七年に結核予防法が廃止され感染症法に統合されるに当たり、人から人への伝染性がないNTM症は置き去りにされました。

 とくに肺MAC症は根治する治療法が確立しておらず、なかには重症化する例もあります。しかし、原因菌が分かっているため、難病には指定されていません。医療費助成は十分ではありません。

 患者数や死亡者数が増加するなか、治療法の確立と患者の支援体制充実が求められています。

  制作・亀岡秀人

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