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【生活図鑑】

サービス残業(No.501) 依然続く不払い問題 是正が先決

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 政府は、労働時間規制を緩和し、残業代を支払わなくてもよい働き方などを検討しています。しかし、現実は、正社員の長時間労働と賃金不払い残業(サービス残業)が依然として問題になっています。

●「残業代ゼロ」の検討

 政府は、経済界の意見を入れ、労働時間に関係なく賃金が一定になる残業代ゼロの働き方の検討に入りました。

 対象になる条件として年収、業務内容などが挙がっています。しかし、労働者代表抜きでの方針決定に、労働者や労組は反発しています。

 一方、法律では週の労働時間を四十時間に規制し、労使で協定を結べば時間外労働(残業)を行える仕組みになっています。経営者は、労働者が残業すれば残業代(割増賃金)を支払う義務があります。しかし、残業代を支払わないサービス残業が後を絶ちません。

●年間300時間?

 では、どれくらいサービス残業を行っているのでしょうか?

 政府にサービス残業の公式データはありません。そこで、厚生労働省の「毎月勤労統計」と総務省の「労働力調査」から推計してみます。

 毎勤統計(五人以上の事業所)の一カ月の残業などを入れた総実労働時間から年間換算すると、二〇一三年は千七百四十六時間になります。

 一方、労働力調査でも週の就業時間を調査しており、一年=五十二週として年間換算すると、一三年は二千六十四時間になります。

 同じ政府の統計でも違いが出るのは、毎勤統計の調査は事業主が答え、労働力調査は労働者が答えている点です。つまり、毎勤統計は事業主が労働させたとしている時間で、労働力調査は実際に労働者が働いた時間です。結局、この二つの統計の差はサービス残業した時間と考えられます。

 二〇〇〇年以降の差を見ると、徐々に減少しているものの、三百時間を超えています。

 一三年では年間三百十八時間のサービス残業をしたことになります。労働力調査の平均月間就業日数を基に年間二百四十日働いたとすると、一日当たり一時間二十分のサービス残業を行っている計算になります。

 また、毎勤統計から一三年の一時間当たり所定内賃金は約千七百九十円。割増賃金率を25%としても約七十万円の残業代が支払われていない計算です。

 月六十時間を超えている場合は50%増しになるため、支払われていない額はさらに増えます。

●指導も、なくならず

 厚労省も〇三年に賃金不払残業総合対策要綱を作成するなど、サービス残業への取り締まりを強化してきました。全国の労働基準監督署がサービス残業の是正を指導しています。

 一二年度は千二百七十七企業が是正し、対象労働者数十万二千三百七十九人で、指導の結果、支払われた割増賃金の平均額は一企業当たり八百十九万円、労働者一人当たり十万円でした。〇三年からの平均では十二万円になります。

 労基署も人員などの制約で、是正指導にも限界があります。このため、先の統計からの試算やブラック企業が話題になることなどから見ると、サービス残業を強いる職場が根強く、賃金不払いが依然、なくなっていない状況です。

 残業代ゼロを検討する前に、まず賃金不払いを是正すべきではないでしょうか?

 制作・亀岡秀人

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