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【生活図鑑】

労働の評価(No.505) 残業しないとマイナス 根強く

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 政府は、労働時間ではなく成果によって賃金が決まる「残業代ゼロの働き方」を検討しています。しかし、内閣府の調査によると、長時間労働の多い運輸、建設業などでは、時間内に仕事を終えて残業しない人について、「マイナス評価」や「評価の対象外(考慮しない)」としている企業が合わせて約8割にもなりました。果たして、成果で評価する仕組みが整えられるのでしょうか?

 内閣府の「ワーク・ライフ・バランスに関する個人・企業調査」によると、長時間残業をしている労働者(正社員)ほど、残業している人について上司は「頑張っている人」「責任感が強い人」と評価している、とするイメージが強いことが分かりました

 一方、「仕事が遅い人」など否定的な評価だとするイメージは、残業が少ない人ほど多くなっていました。

●長時間労働の業種ほど

 企業に対しても調査しています。調査対象は建設業、運輸業、小売業、飲食業の四業種の企業でした。この四業種は、週労働時間が六十時間以上の労働者の割合が高い業種です。内閣府もあえてこの業種を対象にしました。

 四業種の企業では「残業などを行わず、時間内に仕事を終えて帰宅する人」への評価として「考慮されない」が74%で最も多い結果でした。さらに「マイナスに評価する」も6%超ありました。逆に、時間内に仕事を終えることを評価するのは16・3%でした。

 業種別では、長時間労働の比率が高い運輸業で、マイナス評価が8・6%と高くなっていました。

 仕事を終えているのに残業しないことでマイナス評価になるとは、どういうことでしょうか? 成果ではなく労働時間の長さで評価していることになります。結果として、上司などの顔色をうかがいながら、帰宅しない「付き合い残業」を生んでいます。

 では、労働時間などではなく、企業が仕事の成果で評価する仕組みはどれくらい制度化されているのでしょうか?

 業績による成果を給与に反映させる「業績評価制度」を導入しているのは、二〇一二年で36・3%でした。

 企業規模では、千人以上で70・1%が導入しているなど、規模が大きいほど割合が高くなっていました。業種別では、金融・保険業、電気・ガス、情報通信で50%を超えていました。

●成果主義導入は減少

 業績評価制度は、年功序列型賃金制度の問題が指摘された一九九〇年代半ばから企業で導入が進んできました。〇一年には45・7%が業績評価を取り入れ、〇四年には62・8%まで広がりました。

 しかし、成果主義を導入したものの、成果と評価が結びつかないなど名ばかりの成果主義や、賃金格差による混乱など問題が多く、導入割合も減少しました。

 業績評価制度を導入した企業(一〇年)で、「問題がある」とした割合は50・5%もありました。問題点として「評価によって勤労意欲の低下を招く」「評価結果に本人の納得が得られない」「評価システムに労働者の納得が得られない」などが挙げられていました。

 政府の検討する「残業代ゼロ」は、果たして労働者が納得できる働き方になるのでしょうか?

◆「残業代ゼロ」の口実

 上西充子・法政大学キャリアデザイン学部教授の話

 時間内に仕事を終えて帰宅することを企業がプラス評価していないのは、残業が必然である業務量を設定しているからだろう。業務負荷の見直しこそが必要だ。『成果で評価』は口実でしかなく、残業代を適正に支払っていない現状を合法化するのが狙いではないか。

  制作・亀岡秀人

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