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【生活図鑑】

改正労働安全衛生法(No.507) ストレス・受動喫煙対策 完全義務化ならず

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 50人以上の企業にストレスチェックの義務付けと、職場の受動喫煙防止対策の推進などを盛り込んだ改正労働安全衛生法が成立しました。主な内容は?

 改正の主内容は(1)労働者のメンタルヘルス対策として、医師・保健師などによるストレスチェック制度を創設する(2)受動喫煙防止のため、職場や飲食店など事業者は適切な措置の実施に努める(3)重大な労働災害を繰り返す企業は改善計画を作成する−などです。

 これらは二〇一五年以降、随時、施行する予定です。

●「50人未満」改善遠く

 メンタルヘルスの不調による休業や退職が増えています。また、精神的疾患を理由にした労働災害補償の請求件数は、一三年に千四百九件と十年前の約三倍に増加しています。認定件数も四百三十六件と同四倍になっています。

 一方で、メンタルヘルスケアに取り組んでいる事業所の割合は一二年で47・2%にとどまっていました。そこで、年一回以上、医師・保健師などによる労働者のストレスチェックを実施することを企業(事業者)に義務付けました。

 ストレスチェックは「ひどく疲れた」「不安だ」「ゆううつだ」などの質問に答える形式です。チェック内容については、専門家で検討中です。また、チェックの方法は、医師・保健師の対面による聞き取りやアンケート形式が考えられています。

 ストレスチェックの結果は、医師・保健師などから直接、通知します。一般の健康診断では、診断結果は事業者に知らされますが、ストレスチェックの結果は、労働者の同意がなければ知らせることはできません。

 通知を受けた労働者は、希望すれば医師の面接指導を受けられます。その結果、医師の意見に基づき、事業者は作業の転換、労働時間の短縮など、就業上の対策を行う必要があります。労働者に不利益な扱いをすることは禁じられています。

 一方、法案を議論した審議会では当初、全企業にストレスチェックを義務付けていました。しかし、与党の部会で五十人未満の事業所は当面、努力義務と修正されました。メンタルヘルス対策の実施状況を事業所の規模別で見ると、五十人未満では低くなっています。審議会でも小規模事業所の対策が必要とされただけに、早期に全企業での実施が望まれます。

●WHO「全面禁煙を」

 受動喫煙による健康被害が問題になっています。

 厚生労働省の一一年の調査によると、全面禁煙の事業所は25・8%、空間分煙を実施しているのは21・8%で、合計しても半数以下でした。事業所の規模別では、大企業ほど受動喫煙防止への取り組みが進んでいました。また、業種別では、情報通信業に比べサービス業などで取り組みの遅れが目立っていました。

 こうした状況を受け、民主党政権時代に、すべての事業者に職場の全面禁煙または空間分煙の義務化を盛り込んだ改正案を提出しました。しかし、反対を受け一二年に廃案になりました。

 自公政権の今回は全事業所で努力義務となり、前回より後退した案が成立しました。

 一方、世界保健機関(WHO)は「受動喫煙からの保護」として「喫煙室や空気清浄機などの対策では受動喫煙を防止できないため、屋内を完全禁煙とする立法措置」を各国に求めています。

 努力義務になったことで、禁煙対策の実効性が問われています。

  制作・亀岡秀人

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