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【生活図鑑】

労災適用外(No.510) 雇用関係のない「労働者」、健保で保障

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 学生のインターンシップが盛んです。しかし、インターンシップ中にケガを負った場合、医療給付は受けられるのでしょうか?従来は健康保険、労災保険のどちらからも受けられませんでした。シルバー人材センター経由の就業中にケガを負った場合も同様でした。両制度のすき間で給付されない問題を改善するため、健康保険制度が改正されました。両制度の給付や改正内容を見てみましょう。

 会社員らの健康保険と労災保険は、ともにけがや病気の治療費用を給付内容に含む社会保険です。それぞれの療養に関する給付内容は、次のようになっています。

 健康保険 病院や保険薬局にかかった際に支払う医療費の自己負担は、費用の一〜三割です。残りの九〜七割は健康保険で給付しています。保険料は、健保組合では事業主と被保険者が負担しています。

 労災保険 医療費の全額を労災保険で給付するため、患者の自己負担はありません。例外として、通勤災害による医療費へは原則二百円の自己負担があります。保険料は全額事業主負担です。

 患者の自己負担は異なるものの、医療費を給付する点で二つの保険は共通しています。健康保険は傷病手当金、労災保険は休業(補償)給付という名称で休業時の所得保障もあります。

 しかし、両制度には大きな違いがあります。労災保険の給付は労働者の業務(仕事)上や通勤による傷病に限られています。健康保険は、業務外の傷病を対象にしている点です。

 ところが、どちらの保険からも給付されない“すき間”がありました。健康保険で対象外の業務上で負ったけがや病気で、労災保険でも給付が認められないケースです。

●シルバーセンター経由

 問題になったのは、シルバー人材センター経由で仕事をしていた高齢者が、けがを負ったケースでした。

 高齢者は、シルバー人材センターから仕事の紹介を受けるだけで、雇用関係がありません。このため、労災保険で保護する「労働者」ではなく、労災保険からの給付はありません。一方、就業中にけがを負ったため、健康保険では業務上とされ、給付されない事態でした。

●インターンシップ中

 同様にインターンシップの学生なども、雇用関係がないため、労災保険の適用になりませんでした。インターンシップ中に傷病を負っても、健康保険から給付がされない状態でした。

 こうしたすき間の対象者は、シルバー人材センターだけでも、全国で七十四万人(二〇一三年三月末現在の登録者)もいました。

 このため、一三年に健康保険法を改正、業務上・業務外の区分を廃止して、労災保険の給付を受けられない場合には原則、健康保険の対象にするとしました。

●役員は対象外

 健康保険法改正後の現在も、役員は原則として対象外です。

 仕事のけがなどであっても、通常、企業の役員は労働者とされないため、労災保険からは給付されません。また、業務上なので健康保険からの給付もありません。

 使用者側の業務上の負傷への補償は全額使用者側の負担で行うべきで、労使折半の保険料で賄われる健康保険からは給付しないという考え方です。仕事ではない傷病については健康保険の対象です。

 ただし、五人未満の小規模法人の場合のみ、代表者等も、業務上であっても健康保険の給付対象になります。

 さらに、業種に応じて三百人以下などの条件に該当する法人の役員等へは、労災保険に任意で加入することができる「特別加入」の道が開かれています。

    編集・亀岡秀人 デザイン・川端乙大

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