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【生活図鑑】

自転車事故(No.512) 未成年者でも賠償責任 被害者救済に影

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 誰もが手軽に利用する自転車。事故を起こせば、未成年者でも高額な賠償を求められることがあります。しかし、資金力のない未成年者は賠償金を支払えず、被害者が救済されないケースも考えらられます。現状と課題をまとめました。

 警察庁によると、二〇一三年の交通事故発生件数は六十二万九千件(前年比5・4%減)、死者数は四千四百人(同0・9%減)でした。発生件数は九年連続、死者数は十三年連続で減少しています。

 一方、自転車と歩行者の事故は〇一年に千八百件だったのが、その後増え続けて〇八年には三千件近くに上りました。それ以降も毎年二千六百件を超え、高止まりの状態が続いています。歩行者が死亡する事故も毎年複数件起きています。

 一三年の自転車対歩行者の事故件数のうち、十九歳以下が起こした割合は28・9%と約三割を占めています。さらに二十四歳以下まで含めると41・1%に達しています。

 交通ルールを守り、事故を起こさないことが第一です。事故を起こした加害者は、刑事責任のほか、事故が原因で生じた逸失利益、治療費や慰謝料などの損害を賠償する民事責任が発生します。

 中でも、子ども(未成年者)が自転車事故を起こしたケースで、さまざまな問題が指摘されています。

●分かれ目は12、13歳

 未成年者でも責任能力の有無によって、賠償の在り方が違ってきます。責任能力が認められる年齢は、事故の内容によって異なり裁判で判断されますが、おおむね十二〜十三歳が分かれ目といわれています。

 例えば、携帯電話を操作しながら無灯火で自転車を運転していた女子高校生が歩行者に追突し、被害女性が歩行困難になり看護師の職を失った事故では、女子高校生の過失を認め、約五千万円の支払いを認めています。

 しかし、裁判で高校生などの責任能力が認められて損害賠償判決が出ても、本人には資力がなく、被害者が救済を受けられないケースも考えられます。

 一方、小学校五年生が下りの坂道で時速二十〜三十キロでマウンテンバイクを運転し、前方不注意により歩行中の女性と正面衝突、被害女性が頭蓋骨骨折等で意識不明状態になったケースでは、保護者の母親に九千五百万円の支払いが命じられました。

 このケースでは、小学生本人の責任能力が年齢的に問えないため、親の監督責任が問題になりました。結果的に賠償責任は親が負うことになりました。

●強制保険の導入案

 高額賠償金を命じる判決が続いたことで、自転車でも自動車のような強制加入保険案が浮上しました。しかし、自動車の場合、運転免許や車検制度などがあります。自転車も免許を必要とするのかなど議論が必要な課題が多く、法整備は進んでいません。

 現在、事故の賠償に備えるには民間の自転車保険があります。また、家族が誤って他人にけがをさせた場合などに補償する「個人賠償責任保険」に特約で加入できます。自転車安全整備店で自転車を購入または点検整備を受けると付帯される「TSマーク付帯保険」もあります。十月からは赤色TSマークの賠償額が従来の二千万円から五千万円に増額されます。いずれも、加入は任意です。

 民法が専門の中山実郎大阪国際大学教授は「賠償制度が整っていない現状では、被害者が救済されない恐れもある。また、未成年加害者にも重い負担を強いることになる」と指摘しています。

 編集・亀岡秀人

 デザイン・白井裕子

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