東京新聞のニュースサイトです。ナビゲーションリンクをとばして、ページの本文へ移動します。

トップ > 生活図鑑 > 生活図鑑シリーズ・バックナンバー > 2014年の記事一覧 > 記事

ここから本文

【生活図鑑】

貧困の連鎖(No.515) 親の収入、子の教育面・雇用に影響

写真

 子どもの貧困率が16%を超え、過去最高になるなど、深刻な状況です。親の貧困が子どもに影響する貧困の連鎖も問題になっています。政府も「子供の貧困対策大綱」を閣議決定するなど、対策に乗り出しています。

 子どもの貧困率は、所得が平均的な水準の半分を下回る世帯で暮らす十八歳未満の子どもの割合を示しています。二〇一二年に16・3%と過去最高になりました。全体の貧困率が16・1%だったため、初めて全体を上回る結果になりました。

 貧困の連鎖として、親の所得の低さが、教育面で影響していると指摘されています。

 文部科学省の全国学力・学習状況調査(一三年度)の分析(お茶の水女子大学)によると、親(世帯)の年収が上がるほど子どもの成績も上がる傾向にありました。

 小学六年生の正答率は、年収二百万円未満の家庭の子は国語A(知識を問う問題)が53%、算数B(応用問題)が45・7%だったのに対し、千五百万円以上の家庭の子はそれぞれ75・5%、71・5%と20ポイント以上の開きがありました。中学三年生でも同様の傾向でした。

 塾など学校外教育支出を見ると、年収二百万円未満の家庭では支出なし(約三割)を含め、約半数が月額五千円未満でした。一方、千五百万円以上の家庭では六割が三万円以上を支出していました。教育支出の差が影響したとも考えられます。

●所得格差生む悪循環

 世帯年収二百万円未満は生活保護世帯であるケースも多いとみられます。保護世帯の高校進学率は90・8%と、一般世帯を含めた全国に比べ約8ポイント低くなっています。また、高校中退率は5・3%と全国の中退率1・5%に比べ高くなっていました。

 厚生労働省の国民生活基礎調査の特別集計によると、学歴別の貧困率は、小・中卒の貧困率が各年齢層で高くなっていました。女性は25%以上(四人に一人)の貧困率で、三十歳代では40%を超えています。男性の貧困率も20%以上(五人に一人)でした。背景には、学歴による雇用形態の違いや賃金水準の格差があります。

 このほか、貧困による健康格差なども指摘されています。貧困が子の教育に影響し、さらにさまざまな面に悪影響を及ぼすとしたら、大きな問題です。

 もっとも、経済格差と学力の関係を分析したお茶の水女子大によると、学習時間と学力の関係も高いなど、親の所得が低いからといって、必ずしも子どもの学力が低くなるとは限らない、としています。親の貧困=子の貧困というわけではありません。

 しかし、親の経済・社会的格差が子に影響する貧困の連鎖が指摘されているのも事実です。

●問われる国の支援策

 このため、国も連鎖を断ち切る支援体制を打ち出しています。「子供の貧困対策大綱」を閣議決定し、教育の支援として、福祉面の相談に応じるスクールソーシャルワーカーを現在の約千五百人から五年後に一万人へ増員▽高校生への奨学給付金の増額▽児童養護施設などで暮らす子どもの学習支援−などを打ち出しています。

 親の貧困は子の責任ではありません。大綱でも「子どもの将来が生まれ育った環境で左右されることのないよう貧困対策は極めて重要」と強調しています。

 今後、努力義務であるものの、都道府県でも貧困対策計画の作成が求められています。連鎖を断ち切る支援策の実効性が問われています。

 制作・亀岡秀人

ご注文はこちらから
 

東京新聞の購読はこちら 【1週間ためしよみ】 【電子版】 【電子版学割】

PR情報