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【生活図鑑】

年金加入期間(No.519) 45年に延長 働くことが前提

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 年金保険料の支払い期間を現在の原則40年から5年延長し、45年にする方向で検討が進んでいます。いわば65歳まで働くことを前提にした改革です。どのような影響があるのでしょうか?

 現在の年金制度は、基礎年金のもとになる保険料の支払期間を、原則二十歳から六十歳になるまでとしています。四十年、保険料を支払えば満額の基礎年金を受給できます。この保険料の支払期間を、二十歳から六十五歳になるまでの四十五年に延ばす方向で検討が進められています。年金の強制加入期間を五年延ばすことになります。

●65歳になるまで…

 背景には、六十五歳の平均余命が約四年延びたほか(1)会社員は高年齢者雇用安定法により雇用継続が義務付けられ、六十五歳になるまで年金保険料を支払うようになった(2)高齢者も保険料の支払いで年金財政を支える(3)保険料の支払期間が延びれば、年金額も増える−などが挙げられています。

 四十五年への延長は、二〇一八年度から三年ごとに一年ずつ延長し、三〇年度に完了する計画です。三〇年度は、女性の厚生年金報酬比例部分の支給開始年齢の六十五歳への引き上げが終わる年です。

 保険料支払期間(基礎年金が満額になる年数)は、一九五七年度以前生まれでは四十年、五八、五九年度生まれが四十一年となります。六六年度以降生まれは四十五年になります。

 保険料は毎年引き上げられており、国民年金保険料で年間約十八万円から二十万円になります。五年延長では約百万円の保険料を支払うことになります。一方、基礎年金は、現在の月六万四千円から約八千円増えることになります。

 また六十五歳の年金支給開始時点で見ると、モデルケース(満額になる期間、夫は会社員で標準的賃金、妻は専業主婦)の所得代替率(年金が現役世代の所得に比べどれくらいの割合か)は、労働市場への参加が進むケース(就業率が上昇、高成長)で、50・6〜51%が57%台へ上昇するとしています。

 保険料の支払期間に四十年と四十五年の違いがあり、年金給付が増加するのは当然です。一概に所得代替率が改善されたとは言えません。

●どうなる雇用環境

 四十五年への延長は、六十五歳まで収入を得る、つまり働くのが前提になります。果たして保険料は支払えるのでしょうか?

 労働力調査によると、六十歳代前半の就業率は、六十五歳までの雇用義務化などもあり、一三年で58・9%でした。試算では今後、六十歳代前半の就業率は70%へ高まるとされています。

 しかし、就業状況を見ると、役員を含めても正社員は約二割にすぎません。パートや嘱託など非正規労働者が約三割でした。また、無業者(無職)も四百十二万人、約四割を占めています。無職には会社員世帯の専業主婦も含まれるものの、試算通りに就業率が高まらなければ、保険料の支払いも困難になる人が多くなることが予想されます。

 収入がない、または低い場合は保険料の免除制度が適用される見込みです。しかし、試算通りでなければ、大量の免除者が生まれる可能性もあります。

 四十五年への延長は、年金制度全体に大きく影響します。延長は強制加入なのか任意なのか。また、六十五歳まで働くことを前提にするだけに、収入面を含め、高齢者雇用の中身も問題になります。

  制作・亀岡秀人

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