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【生活図鑑】

求人トラブル(No.529) 情報とは違う条件 苦情多発

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 就職し働き始めたら、求人票や求人情報で示された労働条件と違った−こういったトラブルが増えています。基本給に数十時間の残業代を含んでいることが、入社して分かったなど固定残業代をめぐる問題や、正社員との募集だったのに、実際は非正規だったなど雇用形態が違ったということが挙げられています。求人トラブルの現状は?

 就職に当たっては、大学やハローワークに来た求人票や、ネットの求人情報を参照する場合がほとんどです。就職希望者はその情報を信じるしかなく、求人企業との間で情報の格差があります。

 法律では、企業が採用をする際には労働条件の明示が義務付けられ、虚偽の条件などを提示した場合は、罰則が定められています。しかし、求人票はただちに個別の労働条件を明示しているとはいえない場合もあるうえ、求人時の労働条件など内容の記載については、具体的な規制がありません。

 このため、求人票や求人申込書で示された内容と実態が違うというケースが多いと指摘されています。厚生労働省の調査では、二〇一三年度に求人票と実際の労働条件が違うとして、ハローワークに寄せられた苦情等は九千三百八十件(一二年度は七千七百八十三件)に上りました。賃金、就業時間、選考方法、職種などの苦情がそれぞれ千件を超えていました。

 しかも、求人票などの記載が虚偽であるかどうかは、最終的に裁判などで判断するしかありません。労働者の救済が十分とはいえない状況です。

●残業代が払われない

 トラブルの内容で多いのが固定(定額)残業代など賃金に関するものです。

 厚労省の調査では、求人票に基本給二十万円とあったが、入社後、その中にみなし残業二百時間が入っていた▽求人票には賃金合計額が示されていたが、実際は基本給と手当だった−例がありました。連合への相談でも、求人票では残業月平均十五時間、就業規則に残業代は一・二五倍とあったが、残業代が払われない−などの苦情がありました。

 固定残業代は(1)基本給(固定給)○○万円(残業代を含む)などと記載される「基本給組み込み型」(2)残業手当として月○○万円などの「手当型」−に大きく分けられます。

 いずれも、残業時間が何時間なのか明示されていない場合が多くあります。また「月四十五時間の時間外・深夜割り増しを含む」などと時間が記載されている場合でも、残業時間がそれを超過した場合に別途、残業代を支給する旨がないなどの問題がありました。さらに、○○手当と××手当を合わせて固定残業代としているケースもありました。

 雇用形態が違ったという苦情も多くあります。求人票に正社員とあったが、入社すると契約社員だった(連合)▽正社員募集だったのに、実際はアルバイトで働きぶりを見て正社員に登用と言われた(厚労省)−などが挙げられています。このほか、試用期間中の雇用形態や待遇などで求人票と違ったというトラブルなどがありました。

●記載内容の見直しを

 求人票等のトラブルについては、厚労省も電話相談窓口を設けています。また、相談内容の集計なども毎年、行っています。しかし、抜本的な対策にはなっていません。

 そこで、求人票の記載についての見直しが浮上しています。連合は固定残業代への対応として、求人票等に時間外労働手当欄の新設などで、残業代の計算方法を記載する▽試用期間がある場合は具体的な労働条件を記載する−などを求めています。

  制作・亀岡秀人

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