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【生活図鑑】

非正規労働(No.532) 家計を支えながら 低年収にあえぐ

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 非正規労働者が4割に近づく中、賃金、待遇などで正社員との格差が縮まりません。国税庁の調査では非正規の平均年収は約168万円で、連合総研調べでも非正規の76%が年収200万円に達していませんでした。また、非正規の3人に1人は家計の主たる稼ぎ手です。非正規の実態は?

 非正規の年収は、正社員とは大きな開きがあります。連合と連合総研の調査(二〇一四年十月)では、非正規労働者の年収(過去一年間の賃金)は百万円未満が39・1%と約四割に達していました。二百万円未満で見ると76・1%に上り、93・9%が三百万円未満でした。

 また、国税庁の民間給与実態統計調査(一三年分)では、一年を通じて勤務した非正規の年間平均給与は百六十七万八千円(正社員は四百七十三万円)。男女別では男性が二百二十四万五千円、女性が百四十三万三千円でした。

 正社員の場合、企業規模に応じて給与が増加する一方、非正規で働く場合は、企業規模での差はほぼありませんでした。どちらの調査でも、非正規の平均年収は二百万円未満で、正社員とは約三百万円の開きがあるという厳しい状況です。

●貯蓄100万未満半数

 非正規の三人に一人は、家計を主に支える「主たる稼ぎ手(世帯収入の半分以上を占める)」です。

 非正規のうち主たる稼ぎ手だけで見ると、年収二百万円未満が53%と半数以上に達しています。三百万円未満を合わせると86%にもなります。非正規の場合、主たる稼ぎ手であっても、十分な収入を得ていないことになります。

 このため、非正規が主たる稼ぎ手の世帯では、家計が赤字というのが四割でした。しかも28・2%、約三割は貯蓄がありません。貯蓄なしと百万円未満を合わせると54・8%と半数以上になりました。この結果、75・6%が生活を切り詰めている状態です。

 教育費の捻出も難しい状態です。経済的理由で就学が困難な場合に経費などを支給する就学援助の利用割合は、正規・非正規を問わない文部科学省の調査(一二年度)で15・6%でした。しかし、連合総研の調査によると、非正規が主たる稼ぎ手の世帯では20・5%と、より割合が高くなっています。

●若年層ほど権利を…

 非正規労働者に認められる権利や制度について、雇用保険の基本手当(失業手当)の受給などは70%以上が知っていました。しかし、法律で定められた産前・産後の休業や育児休業の取得については、知っているとの答えが半数以下にとどまっています。

 年齢別では、利用できる制度について知らないとの答えは若年層ほど高くなっています。特に、質問したすべての制度について知らない人の割合は、二十代で13・7%ありました。若年の非正規労働者は、さまざまな制度への知識を得る機会もほとんどないことが影響している、とみられています。

 このほか、なぜ非正規で働いているかを尋ねると、30・7%が正社員の職がないためという「不本意就労」でした。男性だけで見ると半数以上に上っていました。また、不本意就労をしている人は男女とも約四割が仕事に不満を抱いていました。

 政府は非正規から正社員への転換などを政策として掲げています。しかし、転換制度がある事業所は、パート(短時間労働者)で約46%、派遣労働者で13%しかない状況です。

 非正規で主たる稼ぎ手が三人に一人というなか、労働環境の改善が求められています。

 制作・亀岡秀人

 デザイン・川端乙大

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