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【生活図鑑】

セーフティーネット(No.533) 機能している? 問われる意義

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 格差の拡大や貧困の連鎖が問題になるなか、セーフティーネット(安全網)は十分に機能しているのでしょうか? 非正規労働の増加で、雇用の質が問われ、年金、医療、介護制度は負担増と給付の減少が続いています。生活保護の扶助基準も見直されました。さらには刑務所が社会福祉の肩代わりをしているとの指摘もあります。ネットの意義が問われています。

 セーフティーネットは、予期しない事態に陥っても、安心して生活できることを保障するものです。しかし、このネットへの信頼感が失われています。

●不安定な雇用も一因

 雇用では、非正規労働者が増加。収入面、待遇、社会保険の適用などで、非正規と正社員の格差が縮まらず、雇用の質が問題になっています。

 欧州では、非正規労働者と正社員の均等待遇を定めています。わが国でも均等待遇が重要との指摘はあるものの、実現にはほど遠い状況です。

 不安定な雇用は、社会保険のネットのほころびにもつながっています。非正規労働者が、正社員と同じ厚生年金や健康保険組合など社会保険に加入しているのは約五割にすぎません。

 また、自営業者が加入する国民年金の保険料納付率は60%ほどです。国民健康保険も、保険料の滞納などで無保険状態という人が多くいます。さらに財政面の問題で、年金の給付は実質減少し、医療・介護でも受けるサービスの厳格化が進んでいます。

 雇用や社会保険ネットのほころびは、生活保護受給世帯数の増加につながっています。働き口がなく就労できない世帯の受給が増加。母子世帯や、高齢化が進む中で高齢者世帯の受給も減りません。生活保護の扶助基準などの引き下げも続いています。子どもの貧困率も上昇。貧困の連鎖も懸念されています。

●刑務所の社会福祉化

 無年金・無保険のため万引など軽犯罪を繰り返し、刑務所に入所する高齢者が増えています。再犯高齢者が多いのは刑務所がセーフティーネットの代わりになる「刑務所の社会福祉化」が進んだ結果です。二〇〇九年四月から、法務省と厚生労働省は受刑者と社会福祉を連携させる支援を行っていますが、問題は解決されていません。

 これら高齢者や、若年層でネットカフェなどを転々とする見えないホームレスをはじめ、既存のネットから外れた人々が増加しています。

 四月から困窮者自立支援が始まります。ただ、ネット全体が強化されるかは未知数です。社会保障・労働分野で問題が多いなか、生活は…?

 制作・亀岡秀人

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 「生活図鑑」は今回で終了します。社会保障・雇用問題は今後、サンデー版「大図解」で随時掲載します。

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