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【スポーツ】

3階級制覇、長谷川引退 王者のまま自ら幕引き「今が一番美しい」

引退記者会見を終え、3本のチャンピオンベルトと写真に納まるWBCスーパーバンタム級王者の長谷川穂積=神戸市で

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 世界ボクシング評議会(WBC)スーパーバンタム級王者で世界3階級制覇を達成した長谷川穂積(35)=真正=が9日、神戸市内で記者会見し、「これ以上証明するものがなくなった」と現役引退を表明した。これまで世界王者のまま自らの意思で引退した日本選手は世界ボクシング協会(WBA)ミニマム級王者だった新井田(にいだ)豊(後に復帰)だけで、極めて異例だ。

 1999年にプロデビューし、2005年4月にバンタム級王座を獲得。5連続KO防衛を含む日本人2人目の10連続防衛に成功した。10年11月にはフェザー級、ことし9月に3階級目となるスーパーバンタム級で王者になった。35歳9カ月での世界王座奪取は日本男子の最年長記録だった。戦績は36勝(16KO)5敗。

◆忘れた試合一つもない 一問一答

 −印象に残っている試合は。

 「全部が印象に残っているし、一つも忘れた試合はない。初めてチャンピオンになった試合(05年4月16日、ウィラポンに判定勝ち)は夢がかなった瞬間だったのですごくうれしかった」

 −競技生活で一番誇れることは。

 「自分に負けないこと。トレーニングだけはいつも自分に負けないようにやってきた」

 −亡くなった母裕美子さんは引退をどう思っていると感じているか。

 「無事に健康で引退できたということを喜んでくれていると思う」

 −今後について。

 「年内はゆっくりして、来年から新しいステージでチャンピオンになれるように挑戦したい」

 −長谷川選手にとってボクシングとは。

 「ボクシングは僕の人生の全て。これからもずっとボクサー長谷川穂積として生きていきたい」

    ◇

 世界王者のままリングを去る。すべてのボクサーが憧れる引き際。「チャンピオンのまま、一番楽しい時に引退したいと思ってきた。今が一番美しい」。長谷川はやり切った表情で胸の内を明かした。

 3階級目を獲得するまでの5年5カ月はどん底。周囲から「もう長谷川は終わった」という声も聞こえてきた。「体と心が一致すれば誰にも負けない自信がある。それを証明したかった」。反骨心と己を信じる力。ことし9月、自らの拳で結果を出した。

 9月以降、続行か引退か、揺れ動いた時期もある。ふとボクサーになったころを思い出す。お金がほしかったのではない。有名になりたいわけでもない。どれだけ強いのか。それを知りたかった。「この前の試合で答えが出た。もう(目的を)探す意味がない。体はつくれても、気持ちをつくるのは難しい」

 5戦目までは3勝2敗。目立たないボクサーだった。「自分に負けない」と誰よりも練習に励み、持ち前のスピードに磨きをかけた。バンタム級王座で防衛を重ね、果敢に打ち合うスタイルでファンを魅了。当時は亀田3兄弟、内藤大助がお茶の間をにぎわせていた。しかし、05年からの5年で4度の年間最優秀選手賞を獲得するなどリング上は「長谷川の時代」だった。

 ファンからは「もっと見たい」という声もある。長谷川は「腹八分くらいがちょうどいい。ご飯と一緒」と笑う。実際は幾多の激闘であご、右脇腹、左手親指を骨折し、満身創痍(そうい)。身を粉にしてボクシングにささげた17年だった。 (森合正範)

 

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