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【スポーツ】

<東京五輪 1000日後の自分へ>桐生祥秀 やることをやる。決勝で勝負

日本学生対校選手権男子100m決勝9秒98の日本新記録で優勝した桐生祥秀=9月9日、福井県営陸上競技場で

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 28日で開幕まであと1000日となった2020年東京五輪。活躍が期待される日本のアスリートに、夢舞台に立つ1000日後の自分自身へメッセージを贈ってもらった。陸上男子100メートルで日本選手初の9秒台となる9秒98をたたき出した桐生祥秀(東洋大)は、新国立競技場で日の丸を背負って世界に挑む自らへのエールを、短い言葉で記した。(森合正範)

 <新国立競技場のスタートラインに立つ自分に呼び掛ける。その言葉は100メートルでも400メートルリレーでも、予選でも決勝でも変わらない>

 「後悔すんなよ」。贈る言葉はそのひと言です。それがすべてかな。

 これまでけがで(2015年)世界選手権に出られなかったり、(今年の)日本選手権で4番になったり。いろいろあったけど、その場面に戻りたいとは思わないんです。それはやることをやってきたから。僕の中で後悔は一切ない。だから常に後悔しないように。1000日後もそういう自分でいてほしい。

 <目標のタイムはない。目指すは「決勝進出」と言い続けている。日本人では1932年ロサンゼルス五輪の吉岡隆徳以来の快挙を狙う>

 タイムよりそっちです。テレビで見ていても、準決勝とか覚えていないじゃないですか。やっぱりファイナルじゃないと。決勝で勝負したい。それは陸上をやり始めたときからの目標です。

 100メートルは横一列に並んで走る。誰もがパッと見て分かる。だからいい。それと自分が一番輝ける場所だから。長距離でも幅跳びでも高跳びでも輝けない。かけっこで一番になりたい。小さいころの気持ちのままですよ。最近は「ここで1位にならないとダメ」とか雑念もありますけど。

 <2013年に10秒01を出し、9秒台の期待が高まった。4年を経て、9月9日に9秒98を記録。日本人初の9秒台をマークした>

 記録を出す前から「9秒台は通過点」って言ってきたじゃないですか。実際に出してみて達成感より、「ああ、やっと通過したな」みたいな感じ。「ここからが始まり」という気持ちになりました。

 考えたことは、これまで9秒台ばかりが注目されてきて、今後どうやって陸上を盛り上げていくか。自己ベストを更新したり、他の選手に日本記録を更新されて、また他の誰かが更新したり。そうなっていくのがいいと思います。

 <リオ五輪は100メートルで予選落ち。日本選手権は2年連続で敗れた。そのたびはい上がってきた。レース後、号泣したこともある>

 喜怒哀楽があった方が人生楽しそうじゃないですか。ダメな時は落ち込んで無理に気持ちを上げない。楽しい時は喜んで、乗らない時は「やる気ないんで」と言いたい。それを制限する理由はない。僕はそうやって感情を表現していくスポーツ選手がいいなと思う。気持ちに素直でいたいですね。落ち込んだら友達とご飯行って話したり、普通の生活をしていたら、また頑張ろうと思えてくる。そうなったら練習し始めるんです。

 「大舞台で弱い」と誰かに言われたんですけど、その時はムッとしました。でも、そういう部分はあるかなと思うし、どうやったら取り返せるか。9月の(9秒台を出した)日本学生対校選手権でいえば、多田(修平)君に勝つしかなかった。やっぱりみんな良い時の結果を見てくれるんで、悪かったことは忘れられる。

 <東京五輪はゴールではない。しかし、地元開催の五輪は特別な舞台になる>

 昨年のリオデジャネイロ五輪と、今年の世界選手権で(400メートルリレーの)メダルをとった。でも、世界選手権の直後に会った人からも「リオのメダルよかったね」と言われるんです。だから五輪のインパクトって全然違う。しかも東京ならもっと違うんだろうなと思います。

 2020年で辞めないんで、まだ(陸上人生は)ありますからね。陸上人気は続いてほしい。そのためにも結果を残さないといけないし、やっぱり「後悔すんなよ」と言いたいです。

 <きりゅう・よしひで> 京都・洛南高3年時の2013年に男子100メートルで日本歴代2位の10秒01。今年9月に日本新記録の9秒98で、日本選手初の9秒台をマーク。400メートルリレーでは16年リオデジャネイロ五輪銀メダル、17年世界選手権銅メダル。東洋大。176センチ、70キロ。21歳。滋賀県彦根市出身。

 

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