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【スポーツ】

42歳川口、GK道追求 J3最年長出場記録更新

10月29日の富山戦でプレーするJ3相模原のGK川口能活=相模原ギオンスタジアムで

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 元日本代表GK川口能活が7月にJ3相模原でJ3の最年長出場記録を更新し、42歳の今も現役にこだわってゴールを守っている。1998年フランス大会から4大会連続ワールドカップ(W杯)代表に選ばれた華やかな経歴の一方、度重なる故障や挫折も経験してきた。「このまま終わりたくない」と理想のGK像を追い求める。飽くなき情熱と探求心が原動力だ。

 台風22号の影響で土砂降りとなった10月29日、リーグ戦で最後方から冷静に指示を出す姿があった。果敢に前へ出るスタイルは変わらないが、闘争心むき出しで時に先輩DFも叱咤(しった)した20代から年齢を重ねて円熟味を増した。ホームで富山に3−2で勝つと、両腕を突き上げ「自分にとって収穫だし、チームの成長も感じた試合」と喜びをかみしめた。

 J1磐田時代の2009年に右すね骨折、12年に右アキレス腱(けん)断裂といった選手生命を脅かす大けがに見舞われた。「どん底までいった」と語る。13年に磐田、15年にはJ2岐阜を退団。プロ24年目の今季は開幕から相模原でベンチを温める葛藤もあった。それでも「全力で戦うしかない」と不屈の闘志で苦境を乗り越えた。今季限りで退任する安永聡太郎監督は「腐らずに続け、練習から一番前向きに取り組むのは彼。頭が下がる」とうなずいた。

 26歳で挑戦したイングランドのポーツマスでの経験が転機となり、現役を続ける支えになっている。出番が少なく不遇の時を過ごしたが「40歳を超えても若手とばりばり競い合って試合に出るGKが普通にいた環境に感銘を受けた」と言う。

 その後移籍したデンマークではコーチに「もっと人生を楽しめ」と諭され、プロサッカー選手として人間的な幅も広がった。

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 所属先がJ1からJ2、J3と下がっても「今できる最高のプレーがしたい」と決意は揺るがない。「いつか引退はするけど、自分の中で納得いく形を成し遂げたい」と力を込めた。原点にあるのは「サッカーが好きという気持ちと負けず嫌いの性格」だ。静岡・清水商高(現清水桜が丘高)時代の先輩で相模原の望月重良代表は「チームの象徴であり選手以上の存在。年を取ったから終わりではなく、サッカー界としてリスペクトしないといけない」と信頼を寄せる。

 J2では横浜FCの元日本代表FW三浦知良が奮闘し、3月にJリーグ史上初めて50歳でゴールを挙げた。20年前に日本代表がW杯初出場を決めた当時から川口も尊敬する偉大な先輩だ。「サッカー選手の固定観念をカズさんがいい意味で完全に壊した。カズさんの存在があるから、僕の年齢でも大ベテランじゃないですよね」と笑う。

 将来は指導者を目指すが、まだ明確なイメージは描けていない。年齢的な不安もピッチに入ると忘れられるという。「経験プラス新しい技術を身に付けないとゲームに出られないし、若手にも勝てない。喜びと誇りを持ってプレーするのが大事」と向上心は尽きない。

 

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