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【スポーツ】

<結実 川崎J1初制覇> (下)苦杯の先強靱な精神

ルヴァン杯決勝で敗れた後のリーグ戦で、G大阪に続き、浦和にも勝利して喜ぶ川崎イレブン=埼玉スタジアムで

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 「選手も相当、落ち込んでいる」。11月4日のYBCルヴァン・カップ決勝で敗れ、準優勝に終わった川崎の鬼木監督は試合後の会見でそう漏らした。シルバーコレクター。クラブに長く貼られたレッテルをはがすことができなかった。チームはまた、暗闇に迷い込もうとしていた。

 天皇杯は既に敗退。ルヴァン杯も逃し、残るはJ1しか狙えるタイトルはなかった。鬼木監督は「メンタルの回復が一番大事になってくると思う」と神妙な表情で語った。J1も佳境。立て直しへ向け残された時間は少なかった。

 中村は「チームがバラバラになってもおかしくない負け方だった」と打ち明ける。それでも「鬼木さんも、選手も話をしながらリカバリーしようと。自分たちが諦めたら終わり」と懸命に前を向いた。奈良も「川崎はずっと大事なところで勝てないと言われ続けてきた。僕はそう言っている人を見返したかった」。

 再び一丸になり力強く走り始めた。ルヴァン杯決勝後、最初のG大阪戦と続く浦和戦がチームの進化を如実に物語る。ともに1−0で勝利したが、G大阪戦は圧倒的に攻め、浦和戦は防戦一方だった。中村が振り返る。「両極端の試合だったが、勝ち点3を積み重ねた。どちらの展開でも勝てるという自信になった」

 鹿島とのマッチレースで思い出されるのは2009年。最終節にもつれ込んだ優勝争いは鹿島の3連覇で幕を閉じ、川崎の逆転優勝は勝ち点2差で夢と消えた。中村は「柏に勝ってベンチを見たとき、誰も喜んでない状態を知っている」。ただ、今回は「みんなが飛び出してきて、意味が分かった」。シルバーコレクター卒業の瞬間だった。

 過去J1で2位が3度、ルヴァン杯(旧ナビスコ杯)準優勝4度。天皇杯の準優勝も1度ある。鬼木監督は「シルバーコレクターと言われているプレッシャーがずっと付きまとっていたが、やっと解放された」と笑みをたたえた。

 長年にわたり苦杯をなめた経験の上に、ようやく強靱(きょうじん)なメンタルを手に入れた。勝ち切れずに主要タイトルを逃してきた川崎はもういない。8月から15戦負けなしで鹿島との最大勝ち点差8を逆転しての優勝。指揮官は胸を張った。「フロンターレの歴史が動きだした」

 

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