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【スポーツ】

名将招聘で芽生えた自信 北朝鮮サッカーの今

選手に指示を出す北朝鮮のアンデルセン監督=味スタで

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 「近くて遠い国」のサッカーの「いま」が垣間見えた。16日に閉幕した東アジアE−1選手権で北朝鮮の男子は、最下位ながら好プレーが目立った。25年ぶりの外国人指揮官であるアンデルセン監督(54)を招聘(しょうへい)するなど、強化に本腰を入れている。

 「大会に参加できてうれしい。厳しい試合が待ち遠しいよ」。大会前の記者会見で、指揮官が語った言葉に北朝鮮サッカーの現状がにじんだ。

 北朝鮮はワールドカップ(W杯)の1966年イングランド大会でベスト8進出、2010年南アフリカ大会にも出場。だが国情もあって強化試合の相手に恵まれず、14年ブラジル大会、18年ロシア大会はアジア最終予選にすら進めず。低迷を打開するため昨年5月、アンデルセン監督に立て直しを託した。

 同氏はノルウェー出身。現役時はドイツ1部リーグの得点王に輝き、指導者として欧州各国を渡り歩いた。北朝鮮代表では平日に2部練習で鍛え、週末は所属チームでトレーニングさせるなど、「非常に厳しい練習をしている」と強調した。

 E−1選手権では日本と韓国に0−1で敗れ、中国とは1−1の引き分け。ただ内容では相手に勝る場面も多かった。9日の日本戦では守りを固め、カウンターから何度も決定機を演出。アンデルセン監督の「5、6点は取れた」という発言は説得力があった。中2日の韓国戦は疲れで精彩を欠いたが、16日の中国戦は前線からの激しいプレスで圧倒。守備で引き出しの多さを示した。今季はJ2讃岐に所属したMF李栄直(リ・ヨンジ)が「しっかり組み立てる戦術をやっている」と語ったように、巧みなパスワークも目を引いた。長身FWにロングボールを放り込む単調な攻撃は一新された。

 珍しい光景もあった。選手は練習でスポーツ用品メーカー「プーマ」のウエアを着用。代表ではなく監督が用意したものという。一方で、試合用ユニホームにはメーカーのロゴがなく、難しい立場に置かれた国の状況を表しているようだった。

 選手間の雰囲気は良好だという。J2町田でプレーしたDF金聖基(キム・ソンギ)は「女の子の話や車の話とか、そういう軽い話題も多い」。日本の同世代と接するときと同じように意思疎通はできている。国際的に孤立し、依然として強化に関して厳しい環境であることは否めない。それでも李栄直は「強い国ともっと試合ができれば(日中韓に)追いつける」。そう言い切るだけの自信は、芽生えつつある。 (対比地貴浩)

 

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