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【スポーツ】

ライバルの飲料に薬物 カヌー日本選手権 五輪候補が混入

2010年11月、広州アジア大会に出場した鈴木康大選手=共同

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 日本カヌー連盟は九日、昨年九月のスプリント日本選手権(石川県小松市)に出場した鈴木康大選手(32)=福島県協会=が、大会中に小松正治選手(25)=愛媛県協会=の飲み物に禁止薬物の筋肉増強剤メタンジエノンを混入させ、小松選手がドーピング検査で陽性となったと発表した。日本アンチ・ドーピング機構(JADA)は鈴木選手に八年間の資格停止処分を科すとともに、暫定的な資格停止となっていた小松選手の処分を解除した。

 ともに昨夏の世界選手権(チェコ)に出場し、二〇二〇年東京五輪を目指すトップ選手で、異例の事態。五輪のフェアプレー精神に反する極めて悪質な行為で、東京大会の開催国として大きなイメージダウンとなった。

 JADAによると、他者からの混入によるドーピング違反発覚は国内初のケース。鈴木選手は日本カヌー連盟などの調べに対し、ライバル選手を陥れようとしたと説明している。小松選手が禁止物質の摂取を否定し、同連盟による調査の過程で禁止物質を混入させていたことを認めた。小松選手は処分を免れるが、日本選手権の成績は抹消となる。

 日本カヌー連盟による調査では、鈴木選手は小松選手以外のライバルに対しても、練習や競技で使用する道具などを盗むといった妨害行為を繰り返していたことも判明。東京都内で記者会見した古谷利彦専務理事は「スポーツマンシップという日本人のみなさんが長年積み上げられてきた美徳を著しく失墜させるもの。指導が行き届かず、おわび申し上げる」と謝罪した。

◆スポーツ庁長官「非常にがっかり」

 カヌー・スプリントの男子選手が別の選手の飲み物に禁止薬物を混入させていたことに関し、スポーツ庁の鈴木大地長官は九日、報道陣の取材に応じ「事実ならば大変遺憾だ。人を陥れるようなたちの悪いケース。日本のスポーツ史上あまり聞いたことがない性質のもので、非常にがっかりしている」と話した。

◆開催国の信頼性に水

 カヌーの世界選手権代表を経験した有力選手がライバル選手の飲料に禁止薬物を混入させる事態が起きた。フェアプレー精神とは正反対で、前代未聞の愚行だ。加害選手は若手選手の台頭に危機感があったという。

 日本カヌー連盟の関係者は「五輪を狙う以前に、スポーツ選手としてあってはならないこと。ドーピングには気を配ってきたが、選手が入れるなんて想像していなかった」と語った。続けて、「日本選手権という大舞台で起きたことも信じられない。今後は選手教育を含め、対策を練らなくてはならない」と強調した。

 ロシアの組織的なドーピング問題で、五輪は揺れている。クリーンな大会を目指す東京五輪にとって、開催国としての役割は大きい。同関係者は「選手やカヌー競技だけでなく、東京五輪に明らかに悪影響がある」と話す。開催国としての信頼性に水を差した格好だ。

 カヌーはリオデジャネイロ五輪のスラローム男子で羽根田卓也が銅メダルを獲得。日本人初の快挙に沸き、選手強化や競技普及へ組織をあげて取り組んでいる最中だった。

 五輪開催まで二年半と迫り、今後、各競技で代表争いが本格化する。自国開催は周囲の期待が大きく、これまでの五輪より重圧もあるだろう。しかし、五輪選手は子どもたちのあこがれであり、模範でならなくてはならない。競技者は自覚を持ち、運営する団体側はより入念な対応が求められる。 (森合正範)

 

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